鷲見明(公認会計士) この記事の監修者:鷲見明(公認会計士)

経理体制を見直すと会社はどう変わる?利益・資金繰り・生産性を改善する方法

経理体制を見直しで会社はどう変わるか。利益・資金繰り・生産性を改善する方法を記載した記事の画像

経理は、会社のお金を管理するための大切な業務です。しかし、本来の役割は「日々の帳簿を付けること」だけではありません。

売上や利益、資金繰りの状況を正しく把握し、経営者が迅速に判断できる環境を整えることも、経理の重要な役割です。

一方で、中小企業では、

  • 社長自身が経理を兼務している
  • 担当者しか分からない業務が多い
  • Excelや紙で管理している
  • 月次決算がなかなか終わらない

といった状況も少なくありません。

このような状態では、会社の数字をタイムリーに把握できず、利益の減少や資金不足などの変化に気付くのが遅れてしまうことがあります。

そこで重要になるのが経理体制の見直しです。

経理体制を整えることで、業務の効率化だけでなく、利益や資金繰りの見える化、経営判断の迅速化など、会社全体にさまざまな良い変化が生まれます。

この記事では、経理体制を見直すことで会社がどのように変わるのか、中小企業の経営者向けに分かりやすく解説します。

合わせて読みたい:社長が経理をしている会社が抱える5つのリスク|見直すべきタイミングとは


目次

経理体制を見直すとは?会社の成長を支える土台を整えること

経理体制を見直すとは、単に会計ソフトを導入したり、作業時間を短縮したりすることではありません。

会社のお金を正確かつタイムリーに把握できるように、経理業務の流れや役割分担、運用方法を整えることです。

例えば、次のような取り組みが挙げられます。

  • 紙の書類をデータ化する
  • クラウド会計を活用する
  • 業務手順を標準化する
  • 担当者しか分からない仕事をなくす
  • 月次決算を早く締められる仕組みをつくる
  • 必要に応じて外部の専門家を活用する

経理は直接売上を生み出す仕事ではありません。しかし、会社の数字を正確に把握できなければ、経営判断を誤る可能性があります。

つまり、経理体制を整えることは、会社の成長を支える基盤づくりといえます。

合わせて読みたい:経理代行とは?業務内容・導入の流れを解説


経理体制を見直すと会社が変わる5つの理由

利益の状況をタイムリーに把握できる

経理体制を見直すことで最も大きく変わるのが、会社の利益を把握するスピードです。

経理業務が紙やExcel中心だったり、担当者ごとに処理方法が異なっていたりすると、毎月の数字をまとめるまでに時間がかかります。

その結果、

  • 今月は利益が出ているのか
  • 原価率は上昇していないか
  • どの事業が利益を生み出しているのか

といった重要な情報を把握できる頃には、すでに次の月が始まっていることも珍しくありません。

一方で、経理体制が整っている会社では、毎月の数字をタイムリーに確認できるため、利益率の低下やコスト増加にも早い段階で気付けます。

問題を早期に把握できれば、価格の見直しやコスト削減などの対策も迅速に行えるようになり、経営判断の質も高まります。


資金繰りに余裕が生まれる

利益が出ていても、資金繰りが悪化すれば事業の継続は難しくなります。

そのため、利益だけではなく、「いつ、いくら入金があり、いつ支払いがあるのか」を把握することが重要です。

経理体制を見直すことで、

  • 売掛金の回収予定
  • 買掛金や経費の支払予定
  • 預金残高の推移

などを継続的に確認しやすくなります。

資金の流れが見えるようになると、資金不足を事前に予測しやすくなり、急な借り入れや支払い遅延といったリスクを減らすことができます。

また、設備投資や採用など、中長期的な経営判断もしやすくなるでしょう。

合わせて読みたい:キャッシュフローが悪化する会社の特徴とは?原因と改善策を解説


月次決算が早くなり、経営判断も速くなる

月次決算は、その月の経営状況を把握するための重要な資料です。

しかし、証憑の回収が遅れたり、入力作業が月末や月初に集中したりすると、月次決算の完了が大幅に遅れてしまうことがあります。

例えば、4月の経営状況が分かるのが5月末では、その間に売上や利益が悪化していても、十分な対策を講じることはできません。

一方で、経理体制が整っている会社では、必要な資料が適切なタイミングで集まり、日々の入力も効率的に行われるため、月次決算を早く締められるようになります。

経営者は毎月の数字をもとに素早く状況を把握し、価格改定やコスト削減、新規投資などの判断を迅速に行えるようになります。

変化の激しい経営環境では、「数字を早く把握できること」そのものが会社の強みになるといえるでしょう。

合わせて読みたい:経理の月初業務を効率化!月次決算を早める方法

業務時間を削減し、本業に集中できる

経理体制を見直すことで、日々の経理業務にかかる時間を大きく削減できる場合があります。

例えば、

  • 領収書を手入力している
  • 請求書を紙で管理している
  • 銀行明細を毎月転記している
  • 同じ内容を複数のExcelへ入力している

このような業務は、多くの中小企業で見られます。

クラウドサービスの活用や業務フローの見直しによって手作業を減らせば、経理担当者だけでなく、経営者自身が経理に費やす時間も削減できます。

その結果、本来注力したい営業活動や事業戦略、人材育成などに時間を使えるようになり、会社全体の生産性向上にもつながります。

合わせて読みたい:経費精算アプリ導入で経理は何時間削減できるか


属人化を防ぎ、安定した経理体制をつくれる

中小企業では、一人の担当者が経理業務を担っているケースも少なくありません。

しかし、その担当者しか業務内容を把握していない状態では、

  • 担当者が退職・休職すると業務が止まる
  • 引き継ぎに時間がかかる
  • ミスや不正に気付きにくい

といったリスクが生じます。

経理体制を見直す際は、業務の標準化やマニュアル整備を進め、誰でも一定の品質で業務を進められる仕組みを整えることが重要です。

属人化を防ぐことは、経理担当者だけでなく、会社全体の安定した運営にもつながります。

合わせて読みたい:経理の属人化を解消する方法


中小企業が取り組みやすい経理体制の見直し方

経理体制の見直しは、大きな改革から始める必要はありません。

まずは現在の業務を整理し、改善しやすいところから少しずつ取り組むことが大切です。

現在の経理業務を整理する

まずは、どのような業務があり、誰が担当しているのかを整理しましょう。

時間のかかっている業務や属人化している業務が見えてくると、改善の優先順位を付けやすくなります。

手作業や重複業務を見直す

同じ内容を何度も入力していたり、紙とExcelを併用していたりする業務は、改善効果が大きいポイントです。

業務フローを見直すだけでも、作業時間を大幅に削減できることがあります。

クラウドサービスを活用する

会計ソフトや経費精算システムなどを活用すると、入力作業やデータ共有を効率化できます。

大切なのはシステムを導入することではなく、自社の業務に合った運用を行うことです。

合わせて読みたい:中小企業の経理DX|導入のための実践7ステップ

業務ルールを統一する

担当者ごとに処理方法が異なると、ミスや属人化の原因になります。

経理処理のルールを統一し、マニュアルを整備しておくことで、担当者が変わっても安定した運用ができるようになります。

必要に応じて外部の専門家を活用する

社内だけで経理体制を整えることが難しい場合は、外部の専門家の力を借りる方法もあります。

経理業務を一部または全体的に見直したい場合には、経理代行を活用することで、無理なく経理体制を整えられるケースもあります。

合わせて読みたい:経理代行で会社はどう変わる?導入効果を徹底解説


経理体制を見直した方がよい会社の特徴

次のような状況に当てはまる場合は、経理体制を見直すタイミングかもしれません。

  • 社長が経理を兼務している
  • 月次決算が翌月後半まで終わらない
  • 紙やExcelによる管理が多い
  • 経理担当者しか業務内容を把握していない
  • 利益や資金繰りをすぐ確認できない
  • 経理担当者の採用や引き継ぎに不安がある

こうした課題は、業務の進め方や体制を見直すことで改善できる可能性があります。

合わせて読みたい:経理体制を見直すべきサインとは?中小企業によくある5つの課題


経理体制を見直す際の注意点

経理体制の見直しでは、システムを導入するだけでは十分ではありません。

現在の業務フローや役割分担を見直さなければ、以前と同じやり方を新しいシステムで続けるだけになり、期待した効果を得られないことがあります。

また、一度にすべてを変えようとすると、現場の負担が大きくなり、運用が定着しない原因にもなります。

まずは課題を整理し、優先順位を付けながら段階的に改善を進めることが大切です。

合わせて読みたい:経理代行で失敗しないための完全ガイド|導入前後に知っておきたい注意点


よくある質問

経理体制を見直すメリットは何ですか?

利益や資金繰りを把握しやすくなり、経営判断のスピード向上や業務効率化、属人化の解消などが期待できます。

小規模な会社でも見直す必要がありますか?

はい。経理担当者が少ない会社ほど、一人に業務が集中しやすいため、早い段階で体制を整えることが重要です。

システムを導入すれば経理体制は改善できますか?

システムはあくまで手段の一つです。業務フローや運用ルールも合わせて見直すことで、より高い改善効果が期待できます。

外部へ依頼する方法もありますか?

社内だけでの対応が難しい場合は、経理代行など外部サービスを活用して経理体制を整える方法もあります。


まとめ

経理体制を見直すことは、単なる業務効率化ではありません。

会社の数字をタイムリーに把握できるようになり、利益や資金繰りの改善、経営判断の迅速化、生産性の向上など、会社全体にさまざまな効果をもたらします。

一方で、すべてを一度に変える必要はありません。現在の業務を整理し、自社の課題に合わせて少しずつ改善を進めることで、無理なく経理体制を整えていくことができます。

経理体制の見直しを進めたいものの、「何から始めればよいか分からない」「自社だけで改善するのは難しい」と感じる場合は、専門家へ相談しながら進める方法も一つの選択肢です。

まるまる経理では、中小企業の経理体制づくりや業務改善をサポートしています。経理業務の見直しや経理体制の構築をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

合わせて読みたい:経理代行の費用はいくら?料金相場と内訳を解説

経理代行サブスクサービス「まるまる経理」の詳細はこちら