鷲見明(公認会計士) この記事の監修者:鷲見明(公認会計士)

経理代行とは?業務内容・導入の流れを解説

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経理代行とは、企業が日常的に行っている経理業務の一部または全部を、外部の専門会社へ委託するサービスです。

会計ソフトへの入力だけでなく、請求書管理、支払準備、経費精算、給与計算、月次資料の作成など、会社の状況に合わせて幅広い業務を依頼できます。

経理代行を利用する目的は、単に作業を外部へ移すことではありません。

経営者や担当者の負担を減らし、経理業務を継続して進められる体制をつくることが本来の目的です。

ただし、依頼できる業務や支援内容は経理代行会社によって異なります。また、経営判断や社内承認、税務申告など、会社側や専門家に残る業務もあります。

この記事では、経理代行の仕組み、業務範囲、ほかのサービスとの違い、導入の流れ、費用、注意点を概要として整理します。

目次

経理代行とは、日常の経理業務を外部へ委託するサービス

経理代行は、社内で行っている経理業務を、外部の専門会社と分担するサービスです。

委託範囲は会社によって異なり、記帳など一部の業務だけを依頼する方法もあれば、請求書管理や支払準備、給与計算、月次資料作成までまとめて依頼する方法もあります。

経理代行の基本的な役割は、次の3つです。

  • 毎月発生する経理業務を安定して処理する
  • 経営者や社内担当者の作業負担を軽減する
  • 担当者だけに依存しにくい経理体制をつくる

外部へ任せれば何もしなくてよいわけではありません。

会社側には、必要な資料の共有、取引内容の説明、支払いなどの最終承認、経営判断といった役割が残ります。

社内と外部の役割を分け、協力して経理業務を進める仕組みが経理代行です。

経理代行で依頼できる業務

経理代行で依頼できる代表的な業務には、次のようなものがあります。

  • 会計ソフトへの記帳
  • 請求書の発行・管理
  • 入金状況の確認
  • 支払予定の整理
  • 振込データの作成
  • 経費精算
  • 売掛金・買掛金の管理
  • 給与計算
  • 月次資料の作成
  • クラウド会計の運用支援

ただし、すべての経理代行会社が同じ業務に対応しているわけではありません。

記帳だけを提供する会社もあれば、請求書管理や支払準備、給与計算など、日常的な経理業務をまとめて支援する会社もあります。

また、資料の提出や支払いの最終承認、経営判断など、会社側で対応する業務も残ります。

依頼できる具体的な業務と、会社側に残る対応については、以下の記事で詳しく整理しています。

合わせて読みたい:経理代行で依頼できる業務一覧|どこまで任せられる?

合わせて読みたい:経理代行の支払業務はどこまで任せられる?振込データ作成と承認の役割分担

月次決算まで依頼できるかは対応範囲によって異なる

経理代行会社によっては、日々の記帳や入出金管理に加え、月次資料の作成や月次決算の支援まで依頼できます。

ただし、月次決算を予定どおり進めるためには、資料の提出期限や締め日、社内で行う確認・承認の流れも整理しておく必要があります。

月次決算をどこまで任せられるのか、会社側にどのような対応が残るのかを確認したい方は、以下の記事をご覧ください。

合わせて読みたい:経理代行は月次決算まで任せられる?業務範囲・締め日・社内対応を解説

記帳代行や税理士とは役割が異なる

経理代行と混同されやすいサービスに、記帳代行や税理士があります。

それぞれ対応する範囲が異なるため、自社が必要としている支援に合わせて選ぶ必要があります。

記帳代行との違い

記帳代行は、領収書や請求書、銀行口座の入出金データなどをもとに、会計ソフトへ仕訳を入力し、帳簿を作成するサービスです。

経理代行は記帳に加えて、請求書管理、支払準備、経費精算、給与計算など、より広い日常業務へ対応する場合があります。

入力作業だけを任せたい場合は記帳代行が候補になります。

経理業務全体の負担や役割分担を見直したい場合は、経理代行の方が適している可能性があります。

税理士との違い

税理士は、税務申告、税務相談、税務代理などを担当する専門家です。

一方、経理代行は、記帳や請求書管理、支払準備、経費精算など、日常的な経理業務を支援するサービスです。

ただし、経理代行の契約に、税務申告や税務相談が含まれているとは限りません。税務申告、税務相談、税務代理は税理士が担当する業務です。

実際には、日常の経理業務を経理代行へ依頼し、決算や税務申告を税理士へ依頼するなど、それぞれの役割を分けて利用する会社もあります。

両者の業務範囲については、以下の記事で詳しく解説しています。

合わせて読みたい:経理代行と税理士の違い|どちらに依頼すべき?役割・業務範囲を分かりやすく解説

経理担当者を採用する場合との違い

経理担当者を採用すると、社内の状況に合わせて柔軟に対応してもらいやすいという特徴があります。

一方で、採用活動、教育、引継ぎ、社会保険、退職リスクなども考慮する必要があります。

経理代行は、雇用ではなく業務委託として必要な業務を依頼する方法です。

社内の経理担当者と経理代行を併用し、定型業務だけを外部へ任せることもできます。

採用と外注のどちらか一方を選ぶのではなく、会社の規模や業務量に合わせて組み合わせることが重要です。

経理代行が検討される背景

経理代行が検討される背景には、中小企業が抱える人材面と業務面の課題があります。

例えば、次のような状況です。

  • 経理経験者を採用できない
  • 経理担当者が一人しかいない
  • 担当者の退職や休職に備えられていない
  • 社長が経理業務まで兼務している
  • 月次処理が毎月遅れている
  • 経理業務が担当者任せになっている
  • クラウド会計を導入したが活用できていない

こうした課題は、人を一人採用しただけでは解消しない場合があります。

業務の進め方や資料管理が整理されていなければ、新しい担当者を採用しても同じ問題が繰り返される可能性があるためです。

経理代行は、必要な業務を外部へ分担しながら、経理業務の流れや役割を整理するための選択肢として利用されています。

オンラインでも経理代行を利用できる

現在の経理代行には、訪問型だけでなく、オンラインで完結するサービスもあります。

クラウド会計やオンラインストレージ、チャット、Web会議などを利用することで、会社と経理代行会社が離れていても同じデータを確認できます。

オンライン型では、主に次のような方法で業務を進めます。

  • 証憑をデータで共有する
  • 会計ソフトへオンラインでアクセスする
  • 不明点をチャットで確認する
  • 定期的にWeb会議を行う
  • 作業状況を共有表で管理する

対面でないこと自体が問題なのではなく、資料の共有方法、連絡手段、確認期限が決まっているかが重要です。

オンライン対応の仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。

合わせて読みたい:オンラインの経理代行でも大丈夫?遠隔対応の仕組みとメリットを解説

経理代行を安心して利用するための仕組み

経理代行では、会社の売上、支払い、給与、取引先など、重要な情報を外部へ共有します。

契約前には、次のような点を確認する必要があります。

  • 情報の共有方法
  • データへのアクセス権限
  • 支払予定表・振込データ作成と、最終承認・振込実行の役割分担
  • 操作履歴の管理方法
  • 担当者以外による確認体制
  • 問題が起きた場合の連絡方法
  • 契約終了時のデータ返却方法

経理業務を外部へ任せる場合でも、会社側が処理状況を確認できる状態を維持することが重要です。

安心して任せるための確認項目については、以下の記事をご覧ください。

合わせて読みたい:経理代行は安心して任せられる?不安を解消する5つの理由

会計の専門家が関わる経理代行もある

経理代行会社の体制はさまざまです。

実務担当者が中心となってサービスを提供する会社もあれば、公認会計士や税理士などの専門家が数値の確認や業務設計に関わる会社もあります。

専門家が関わることで、次のような支援を受けやすくなる場合があります。

  • 会計処理上の確認ポイントを整理する
  • 月次資料の精度を確認する
  • 税理士との役割分担を整理する
  • 業務フロー上の問題を把握する
  • 経営判断に使いやすい資料を整える

ただし、専門家が関わっていることと、税務申告まで契約に含まれていることは別です。

誰がどの業務を担当し、どこまで確認するのかを契約前に確認しましょう。

専門家が関わる経理代行の特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。

合わせて読みたい:会計の専門家が関わる経理代行とは?依頼するメリットを解説

経理代行を利用すると期待できる変化

経理代行を導入すると、定型業務の負担軽減だけでなく、経理体制全体に変化が生まれる場合があります。

代表的な変化には、次のようなものがあります。

  • 社長や担当者が本来の業務へ時間を使いやすくなる
  • 月末や月初に作業が集中しにくくなる
  • 資料の提出方法や保存場所が整理される
  • 社内と外部の役割分担が明確になる
  • 担当者の退職や休職に備えやすくなる
  • 月次の数字を確認しやすくなる

ただし、どのような効果が得られるかは、会社が抱えている課題と委託範囲によって異なります。

経理代行を導入した結果、会社全体がどのように変わるのかについては、以下の記事で解説しています。

合わせて読みたい:経理代行で会社はどう変わる?導入効果を徹底解説

経理代行を検討するタイミング

経理代行は、経理担当者が退職してから急いで探すよりも、経理業務に負担や不安が生じ始めた段階で検討した方が、余裕を持って引継ぎできます。

例えば、次のような状況は検討のきっかけになります。

  • 社長が経理業務に多くの時間を使っている
  • 経理担当者の残業が増えている
  • 月次処理が毎月遅れている
  • 担当者しか分からない業務が増えている
  • 経理経験者を採用できない
  • 事業拡大で取引件数が増えている
  • クラウド化や業務改善まで手が回らない

これらに当てはまるからといって、必ず経理代行が必要とは限りません。

現在の課題と業務量を整理し、採用、外注、システム導入などの選択肢を比較することが大切です。

検討すべき具体的なサインについては、以下の記事をご覧ください。

合わせて読みたい:経理代行を導入するタイミングとは?中小企業が外注を検討したい7つのサイン

経理代行を導入する一般的な流れ

経理代行は、相談した直後からすべての業務を任せるものではありません。

一般的には、次の流れで導入します。

1.現在の経理業務を整理する

社内で行っている業務、担当者、使用しているシステム、処理件数、締め日などを整理します。

2.課題と委託したい範囲を決める

どの業務に負担があり、どの部分を外部へ任せたいのかを明確にします。

3.経理代行会社へ相談する

業務内容や取引件数、現在の経理体制を伝え、対応範囲や進め方を確認します。

4.見積もりと契約内容を確認する

基本料金、追加料金、業務量の上限、会社側に残る作業、契約期間などを確認します。

5.引継ぎと初期設定を行う

資料の共有方法、会計ソフト、勘定科目、承認手順、連絡方法などを整理します。

導入初月に行う準備については、以下の記事で詳しく解説しています。

合わせて読みたい:経理代行を導入する最初の1カ月でやること|引継ぎ・準備の流れを解説

6.運用を開始する

決めた手順に沿って業務を開始し、不明点や処理の遅れがないかを確認します。

7.運用ルールを見直す

導入後に発生した問題をもとに、資料提出日、承認方法、連絡ルールなどを見直します。

運用開始後に決めておきたいルールについては、以下の記事をご覧ください。

合わせて読みたい:経理代行を導入した後に決めるべき5つの運用ルール

経理代行の費用

経理代行の費用は、依頼する業務、取引件数、従業員数、使用するシステム、必要な確認作業などによって変わります。

同じ会社でも、記帳だけを依頼する場合と、請求書管理や支払準備、給与計算まで依頼する場合では料金が異なります。

見積もりを確認するときは、月額料金だけでなく、次の点も確認しましょう。

  • 基本料金に含まれる業務
  • 仕訳数や請求書件数の上限
  • 初期設定費用
  • オプション料金
  • 業務量が増えた場合の追加費用
  • 契約変更や解約の条件

料金相場や見積もりの考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。

合わせて読みたい:経理代行の費用はいくら?料金相場と内訳を解説

経理代行を導入する前の注意点

経理代行を導入する前には、メリットだけでなく、次の注意点も理解しておく必要があります。

導入時には引継ぎが必要

契約後すぐにすべての業務が安定するわけではありません。

資料の受け渡し方法、処理ルール、承認手順などを整理する期間が必要です。

会社側の業務も残る

資料の共有、取引内容の説明、最終承認、経営判断などは会社側に残ります。

社内の窓口となる担当者を決めておくことが重要です。

対応範囲は会社によって異なる

同じ「経理代行」という名称でも、サービス内容は異なります。

自社が必要としている業務に対応しているか、業務ごとに確認する必要があります。

業務量の変化に応じた見直しが必要

事業の成長や従業員数の増加により、必要な業務範囲は変わります。

契約後も、現在の業務量や社内体制に合っているかを定期的に確認しましょう。

公認会計士の視点|経理代行を利用することではなく、継続できる体制をつくる

経理代行を検討する際は、「外注した方がよいか」だけで考えないことが重要です。

会社によって、経理業務の量、担当者数、現在の運用方法、将来の事業計画は異なります。

社内だけで安定して運用できている会社であれば、無理に外注する必要はありません。

一方、社長や一人の担当者に負担が集中している会社では、その状態を放置すると、退職や事業拡大をきっかけに業務が止まる可能性があります。

大切なのは、現在の体制が今後も無理なく続けられるかを考えることです。

経理代行は、そのための選択肢の一つです。採用、システム導入、業務改善なども含め、自社に合った方法を組み合わせる必要があります。

よくある質問

Q. 小規模な会社でも利用できますか?

利用できます。

経理担当者を一人採用するほどの業務量はないものの、社長やほかの社員が経理を兼務している会社でも利用されています。

Q. 顧問税理士がいても利用できますか?

利用できます。

日常の経理業務を経理代行が担当し、決算や税務申告を顧問税理士が担当する役割分担が可能です。

Q. 一部の業務だけ依頼できますか?

一部業務だけに対応するサービスもあります。

記帳、請求書管理、給与計算など、必要な業務を選んで依頼できるか確認しましょう。

Q. オンラインだけで利用できますか?

オンラインで完結するサービスもあります。

資料の共有方法、連絡手段、セキュリティ、原本が必要な場合の対応などを確認する必要があります。

Q. 導入までどれくらいかかりますか?

業務量や現在の資料管理状況によって異なります。

業務内容の整理、契約、初期設定、引継ぎを行ったうえで運用を開始します。

まとめ

経理代行とは、日常的な経理業務の一部または全部を、外部の専門会社へ委託するサービスです。

記帳だけでなく、請求書管理、支払準備、経費精算、給与計算、月次資料作成など、会社の状況に応じて幅広い業務を依頼できます。

一方で、経営判断、最終承認、資料の共有、税務申告など、会社側や専門家に残る業務もあります。

導入を検討するときは、サービス名称や料金だけで判断せず、次の点を整理することが重要です。

  • 現在どのような課題があるか
  • どの業務を外部へ任せたいか
  • 会社側にどの役割を残すか
  • 導入後にどのような経理体制を目指すか

経理代行は、利用すること自体が目的ではありません。

会社が継続して経理業務を進められ、経営者や担当者が本来の業務へ集中できる体制をつくるための手段として検討することが大切です。

現在の経理業務や役割分担を整理したうえで導入を検討したい方は、まるまる経理へお問い合わせください。


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