鷲見明(公認会計士) この記事の監修者:鷲見明(公認会計士)

経理の属人化を解消する方法5選

中小企業の経理属人化対策を5選とし解説する記事の表示画像

「経理担当者しか業務内容が分からない」
「急に担当者が休んだら業務が止まってしまう」
「昔からのやり方で続けていて、全体像を把握できていない」

このようなお悩みを抱えている中小企業は少なくありません。

経理業務は会社のお金を扱う重要な業務であり、日々の運営に欠かせない存在です。一方で、専門性が高く、限られた人数で対応している会社も多いため、特定の担当者に業務が集中しやすいという特徴があります。

その結果、「あの人しか分からない」「その人がいないと業務が進まない」といった“経理の属人化”が起こってしまいます。

属人化は、一見すると問題なく業務が回っているように見えても、担当者の退職や休職、急なトラブルが発生した際に大きなリスクとなる可能性があります。

今回は、中小企業でも今すぐ取り組みやすい「経理の属人化を解消する方法5選」をご紹介します。

目次

そもそも「経理の属人化」とは?

経理の属人化とは、特定の担当者しか業務内容や進め方を把握していない状態を指します。

例えば、以下のようなケースです。

  • 支払業務の手順を1人しか知らない
  • 会計ソフトの操作方法が共有されていない
  • Excelファイルの管理方法がブラックボックス化している
  • 通帳やパスワードを担当者だけが管理している
  • 業務マニュアルが存在しない

中小企業では少人数体制で業務を行うことが多いため、気づかないうちに属人化が進んでいるケースも少なくありません。

→ 経理のブラックボックス化による不正を防ぐ5選

経理の属人化を放置するとどうなる?

属人化を放置すると、さまざまなリスクにつながります。

例えば、担当者が突然退職した場合、請求書発行や支払業務が止まってしまう可能性があります。また、業務内容がブラックボックス化していることで、ミスや漏れが起きても気付きにくくなります。

さらに、チェック体制が不十分になることで、不正リスクが高まるケースもあります。

「今まで問題なかったから大丈夫」と思っていても、トラブルが発生した際に初めて属人化の危険性に気付く企業も多いため、早めに対策しておくことが重要です。

→ 経理の属人化はなぜ危ない?会社に起こるトラブルと対策

経理の属人化を解消する方法5選

1. 業務マニュアルを作成する

属人化解消の第一歩は、業務内容を“見える化”することです。

「毎月どのような業務を行っているのか」
「どの順番で処理しているのか」
「どの資料を確認しているのか」

といった内容を、簡単にでも文章として残しておくだけで、引き継ぎしやすい状態を作ることができます。

特に中小企業では、「長年同じ担当者が対応しているため、説明しなくても分かる」という状態になりがちですが、それこそが属人化の原因になります。

最初から完璧なマニュアルを作る必要はありません。まずは支払業務や請求書発行など、毎月発生する業務から整理していくことがおすすめです。

2. クラウド会計を活用する

紙資料やローカル保存中心の運用は、情報共有が難しく、属人化につながりやすくなります。

そこでおすすめなのが、クラウド会計の活用です。

クラウド会計を導入することで、複数人で同じデータを確認できるようになり、業務の透明性が高まります。また、税理士や外部パートナーともデータ共有しやすくなるため、チェック体制の強化にもつながります。

さらに、銀行口座やクレジットカードとの自動連携機能を活用することで、入力作業を減らし、業務効率化も期待できます。

ただし、クラウド会計を導入するだけで属人化が完全に解消するわけではありません。運用ルールを整備し、「誰でも確認できる状態」を作ることが重要です。

3. ファイル管理・情報共有ルールを統一する

「必要な資料がどこにあるか分からない」という状態も、属人化の大きな原因です。

例えば、

  • デスクトップに保存されている
  • フォルダ名がバラバラ
  • ファイル名のルールがない
  • 担当者しか保存場所を知らない

といった状況では、担当者不在時に業務が止まりやすくなります。

そのため、ファイル管理ルールを統一し、誰でも必要な情報へアクセスできる状態を整えることが重要です。

Google DriveやDropboxなどのクラウドストレージを活用し、

  • 保存場所
  • フォルダ構成
  • ファイル名

などのルールを決めておくだけでも、業務の属人化防止につながります。

4. 複数人で確認する体制を作る

経理業務を1人だけで完結させないことも重要です。

例えば、請求書発行や支払業務、月次試算表の確認などを、社長や別担当者が確認するだけでも、ミスや漏れの防止につながります。

また、定期的に業務内容を共有する機会を設けることで、「担当者しか分からない状態」を防ぎやすくなります。

中小企業では人員的に難しいケースもありますが、“完全に1人だけで管理しない”という意識を持つことが大切です。

チェック体制を整えることは、属人化対策だけでなく、不正防止や業務品質向上にもつながります。

5. 外注を活用する

社内だけで属人化解消を進めるのが難しい場合は、経理代行や税理士などの外注を活用する方法もあります。

属人化が進んでいる企業ほど、「現状のどこに問題があるのか分からない」「長年同じやり方で続けているため改善ポイントが見えない」というケースが少なくありません。

そのような場合、第三者が入ることで、

  • 業務フローの整理
  • 不要な作業の洗い出し
  • 情報共有不足の発見
  • ブラックボックス化している業務の可視化

など、社内では気付きにくい課題を明確にしやすくなります。

また、外注が業務に関わることで、「担当者しか内容を把握していない状態」を防ぎやすくなる点も大きなメリットです。

→ 会計の専門家が関わる経理代行の特徴

→ 経理業務をまるごと任せても安心な理由

まずは“小さな改善”から始めることが大切

経理の属人化は、担当者個人の問題ではなく、“仕組み”の問題です。

特に中小企業では、日々の業務を優先する中で、知らないうちに属人化が進んでしまうケースも多くあります。

しかし、いきなり大きく業務を変える必要はありません。

まずは、

  • 業務を書き出してみる
  • 情報共有ルールを作る
  • 複数人で確認する

といった小さな改善から始めるだけでも、大きな効果につながります。

将来的なリスクを減らし、安心して事業運営を続けていくためにも、少しずつ“誰でも対応できる経理体制”を整えていくことが大切です。

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