経理業務では、請求書や領収書、契約書など、さまざまな証憑を日々取り扱います。
しかし、
「紙は机の引き出しに保管している」
「PDFは担当者ごとに保存場所が違う」
「メール添付のまま受信箱に残っている」
といったように、証憑の保管方法が統一されていない会社は少なくありません。
保管場所や提出方法が担当者によって異なると、必要な資料を探すだけでも時間がかかります。
さらに、月次処理や決算時に確認作業が増え、経理担当者へ業務が集中する原因にもなります。
証憑管理は、単に書類を整理するためのものではありません。
誰でも必要な資料を確認できる状態をつくることで、業務の属人化を防ぎ、経理業務を円滑に進めるための土台となります。
この記事では、紙・PDF・メールなど異なる形式の証憑を、どのようなルールで整理・保管すると管理しやすくなるのかを解説します。
経理の属人化について全体像から知りたい方は、まずこちらの記事をご覧ください。
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証憑管理が乱れる原因
証憑管理がうまくいかない会社では、「保管場所」や「提出方法」が担当者ごとに異なっているケースが多く見られます。
例えば、
- 紙の領収書は各自の机で保管している
- PDFは担当者ごとのフォルダへ保存している
- メール添付の証憑は受信箱に残したままになっている
このように管理方法が統一されていないと、経理担当者は必要な資料を集めるたびに確認作業を行うことになります。
また、担当者しか保存場所を知らない状態では、急な休職や異動があった際に資料を探すだけで時間がかかることもあります。
その結果、
- 月次処理が遅れる
- 確認作業が増える
- 同じ資料を何度も提出してもらう
といった非効率な業務につながる可能性があります。
経理担当者だけが資料の保管場所を把握している状態は、属人化を招く一因にもなります。
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統一ルール① 証憑の提出先を一つに決める
証憑管理を改善するうえで、まず取り組みたいのが提出先の統一です。
紙・PDF・メールなど、受け取る形式が異なっていても、最終的に保管する場所を一つに決めておくことで、必要な資料を探しやすくなります。
例えば、
- 紙で受け取った証憑は受付後に決められた場所へ保管する
- メールで受け取った証憑は指定の保存先へ移す
- PDFも同じルールで整理する
といったように、「最終的な保管場所」を統一することが重要です。
提出方法が担当者ごとに異なっていると、確認作業のたびに保存場所を探すことになり、業務効率は大きく低下します。
一方で、保管場所が決まっていれば、担当者が変わっても同じ手順で資料を確認できるため、日々の業務を進めやすくなります。
統一ルール② ファイル名や保存ルールを決める
保管場所を統一した後は、ファイル名や保存方法にもルールを設けましょう。
同じフォルダへ保存していても、
- 「請求書」
- 「請求書②」
- 「〇〇株式会社」
など、担当者によって名前の付け方が異なると、必要な資料を探すまでに時間がかかってしまいます。
例えば、
「日付_取引先名_内容」
のように一定のルールを決めておくだけでも、検索しやすくなります。
重要なのは、細かいルールを増やすことではありません。
誰が保存しても同じ形式になるよう、シンプルで続けやすいルールを決めることです。
また、ルールは一度作って終わりではなく、実際の運用に合わせて見直していくことも大切です。
紙・PDF・メールを迷わず管理するポイント
証憑は紙だけでなく、PDFやメール添付など、さまざまな形式で受け取ることがあります。
そのため、「形式ごとに別の管理方法にする」のではなく、どの形式で受け取っても同じ考え方で管理できるようにしておくことが大切です。
例えば、紙の証憑は書類棚、PDFはパソコン、メールは受信箱というように、それぞれ異なる場所で管理していると、確認のたびに複数の場所を探さなければなりません。
保管場所が分散すると、資料を探す時間が増えるだけでなく、確認漏れや提出漏れにもつながりやすくなります。
重要なのは、「どこにあるか誰でも分かる状態」をつくることです。
紙の証憑
紙の証憑は、受け取った後の保管場所を決めておきましょう。
例えば、部署ごとや担当者ごとに保管場所が異なると、必要な資料を探すだけで時間がかかります。
保管場所を統一し、「受け取った証憑は必ずここへ保管する」というルールを決めるだけでも、管理しやすくなります。
PDFの証憑
PDFは、案件別や月別、取引先別など、会社に合った基準でフォルダを整理すると探しやすくなります。
フォルダ構成を担当者ごとに変えないようにし、誰が見ても目的の資料へたどり着ける状態を目指しましょう。
メールで受け取った証憑
メール添付の証憑は、受信箱に保存したままになりがちです。
しかし、担当者の受信箱だけで管理していると、担当者が不在のときに資料を確認できないことがあります。
メールで受け取った証憑も、決められた保管場所へ移して管理する運用にしておくと、必要な資料を探しやすくなります。
形式ごとの管理方法を細かく変えるよりも、「最終的な保管場所」と「保管ルール」を統一することが、継続しやすい運用につながります。
継続して運用するためのポイント
保管ルールは、一度決めるだけでは定着しません。
担当者によって運用方法が変わってしまうと、時間の経過とともに管理方法がばらつき、再び属人化につながる可能性があります。
そのため、ルールを継続して運用するための仕組みもあわせて整えておくことが重要です。
提出方法を分かりやすく周知する
新しいルールを決めても、現場へ十分に共有されていなければ運用は定着しません。
提出方法や保管場所を簡単にまとめた案内を用意し、担当者が迷わず対応できるようにしておきましょう。
定期的に運用を見直す
実際に運用してみると、
- 提出漏れが多い
- ファイル名が統一されていない
- 保管場所が分かりにくい
といった課題が見えてくることがあります。
その場合は、運用に合わせてルールを少しずつ見直していくことが大切です。
最初から完璧なルールを目指す必要はありません。
現場で続けやすい形へ改善を重ねることで、管理しやすい仕組みが定着していきます。
引き継ぎしやすい環境につながる
証憑の保管ルールが統一されていると、担当者が変わっても必要な資料を探しやすくなります。
また、新しい担当者へ業務を引き継ぐ際も、「どこに何が保管されているのか」が分かりやすいため、確認作業にかかる時間を減らすことができます。
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公認会計士の視点|証憑管理は「保管」ではなく「業務を止めない仕組み」づくり
証憑の保管というと、「きちんと整理して保存すること」が目的だと思われがちです。
もちろん、整理整頓は大切ですが、実務ではそれ以上に「必要なときに、必要な人がすぐ確認できる状態」をつくることが重要になります。
これまで多くの企業の経理体制を見てきましたが、月次処理や決算が滞る会社では、証憑そのものがないのではなく、「どこにあるのか分からない」「担当者しか保管場所を知らない」というケースが少なくありません。
一方で、保管場所や提出ルールが統一されている会社では、担当者が変わっても業務を進めやすく、資料を探す時間も大幅に減らせます。
証憑管理は単なる書類整理ではなく、経理業務を安定して運用するための仕組みの一つです。
日々の業務で無理なく続けられるルールを整え、必要に応じて見直しながら運用していくことが、結果として属人化の防止や業務効率の向上につながります。
FAQ
Q1. 紙とデータが混在していても問題ありませんか?
紙とPDF、メール添付など、複数の形式で証憑を受け取ること自体は珍しいことではありません。
重要なのは、受け取る形式ではなく、「どこへ保管するのか」「どのようなルールで管理するのか」を統一することです。
Q2. 保管ルールは細かく決めた方がよいですか?
細かすぎるルールは、かえって運用が定着しにくくなることがあります。
まずは保管場所やファイル名など、基本的なルールから始め、実際の運用に合わせて見直していくことをおすすめします。
Q3. 保管ルールはどのくらいの頻度で見直すべきですか?
決まった頻度はありませんが、担当者の変更や業務フローの見直しがあった際には、一度確認するとよいでしょう。
運用を続ける中で使いにくい点が見つかった場合は、その都度改善していくことが大切です。
まとめ
証憑の保管ルールが統一されていないと、資料を探す時間が増えるだけでなく、確認漏れや引き継ぎ時の混乱など、さまざまな問題につながります。
証憑管理を改善するためには、
- 保管場所を統一する
- ファイル名や保存ルールを決める
- 紙・PDF・メールを同じ考え方で管理する
- 継続して運用できる仕組みを整える
といった基本的なルールづくりが重要です。
一度に完璧な仕組みを目指す必要はありません。
まずは現場で続けやすいルールから始め、運用しながら少しずつ改善していくことで、属人化しにくい経理体制をつくることができます。
経理業務の整理や証憑管理のルールづくりでお悩みの方は、まるまる経理でも業務の見直しや運用体制の整備をサポートしています。お気軽にお問い合わせください。
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