はじめに
経理代行は、経理担当者の負担軽減や業務効率化に役立つ便利なサービスです。
しかし、「経理代行を導入したのに月次決算が思ったほど早くならない」というケースも少なくありません。
実際には、経理代行そのものに問題があるのではなく、社内の運用ルールや資料の流れが整理されていないことが原因である場合も多くあります。
経理代行は記帳や集計などの業務を効率化できますが、資料の回収や承認、経営判断まで代行できるわけではありません。
そのため、社内の仕組みが整っていない状態では、経理代行を導入しても十分な効果を発揮できないことがあります。
今回は、実際によくある失敗事例をもとに、月次決算が遅れる原因と対策を解説します。
合わせて読みたい:経理代行を始める最初の1カ月で必要なこと
なぜ経理代行を入れても月次が遅れるのか
経理代行を導入すると、「あとは任せれば月次が早くなる」と考える方も少なくありません。
しかし、月次決算のスピードは経理代行だけで決まるものではありません。
例えば、必要な資料が期限までに集まらない、社内承認に時間がかかる、誰が判断するのか決まっていない、といった状況では、外部の経理担当者がどれだけ迅速に対応しても作業を進めることができません。
月次決算を早めるためには、経理代行の活用とあわせて社内の業務フローを整備することが重要です。
合わせて読みたい:経理代行で月次が遅れる罠!失敗事例5選と契約前の対策
事例1|請求書の回収が月末に集中していた
ある会社では、経理代行を導入したにもかかわらず、請求書の回収が毎月月末に集中していました。
営業担当者が各自で保管していた請求書を月末にまとめて提出する運用だったため、経理代行が作業を開始できるのが遅くなっていたのです。
その結果、入力作業や確認作業が翌月にずれ込み、月次決算も後ろ倒しになっていました。
経理代行は受け取った資料を処理することはできますが、資料そのものを集めることはできません。
月次を早めるためには、請求書や領収書の提出期限を設け、月中から順次回収する仕組みを整えることが重要です。
合わせて読みたい:経費精算アプリ導入で経理は何時間削減できるか
事例2|支払承認が社内で止まっていた
別の会社では、経理代行が支払データを作成しても、社内承認に時間がかかり処理が進まない状態が続いていました。
社長、部門責任者、経理責任者など複数人の確認が必要だったため、現在どこで止まっているのか分からなくなっていたのです。
経理代行側の作業は完了していても、承認待ちの状態では月次決算全体が進みません。
承認者を明確にし、必要以上に確認ルートを増やさないことが、月次を早めるためのポイントです。
事例3|依頼内容が毎月変わっていた
経理代行を導入した当初は記帳業務だけを依頼していたものの、途中から経費精算や売掛金管理などの業務が追加されるケースがあります。
もちろん業務範囲の見直し自体は問題ありません。
しかし、毎月のように依頼内容が変わると、経理代行側も確認や調整が必要となり、業務効率が低下します。
実際に、運用ルールが定まらないまま依頼内容だけが増え続けた結果、月次処理に時間がかかるようになった企業もあります。
まずは基本業務の流れを安定させ、その後必要に応じて業務範囲を広げる方がスムーズです。
合わせて読みたい:経理の属人化を解消する方法5選
事例4|証憑の提出方法が統一されていなかった
経理代行の現場で意外と多いのが、資料の提出方法が部署ごとに異なるケースです。
例えば、営業部はメール、管理部はクラウドストレージ、一部の担当者は紙で提出、という状態になっている企業もあります。
この場合、経理代行は処理を始める前に資料を整理する作業が発生します。
結果として、本来行うべき入力や確認に使える時間が減ってしまいます。
提出方法や保存場所を統一するだけでも、月次処理のスピードは大きく改善します。
合わせて読みたい:経理DXは紙ゼロ化から 中小企業の実践例
事例5|社内で最終判断できる人が決まっていなかった
経理代行を導入していても、社内に最終判断を行う担当者がいないと業務は止まります。
特に、イレギュラーな支払い、特殊な取引、内容確認が必要な経費などは、社内の判断が必要になります。
ところが、誰が最終確認を行うのか決まっていない企業では、確認依頼が複数人に送られ、結果として誰も判断しない状態になることがあります。
経理代行を活用する場合でも、最終的な意思決定を行う責任者を明確にしておくことが重要です。
月次決算を早めるために必要なこと
これらの事例に共通しているのは、経理代行の問題ではなく、社内の運用設計に課題があることです。
月次決算を早めたい場合は、資料提出の期限を決める、承認フローを整理する、提出方法を統一する、業務範囲を明確にする、最終確認者を決める、といった基本ルールを整えることが重要です。
こうした仕組みが整っている企業ほど、経理代行の効果を最大限に活用できています。
合わせて読みたい:経理の属人化はなぜ危ない?会社に起こるトラブルと対策
まとめ
経理代行を導入したのに月次決算が遅れる場合、その原因は経理代行ではなく社内の運用ルールにあることが少なくありません。
特に、資料回収の遅れ、承認フローの複雑化、依頼内容の変更、提出方法のばらつき、判断責任者の不在はよくある原因です。
経理代行は、単に業務を外部へ任せるサービスではありません。
社内の業務フローを整理し、役割分担を明確にすることで初めて大きな効果を発揮します。
「月次決算を早くしたい」「経理担当者の負担を減らしたい」「経理業務を仕組み化したい」という課題がある場合は、経理代行の導入だけでなく、業務フローそのものの見直しも検討してみましょう。
合わせて読みたい:経理業務をまるごと任せても安心な理由
