経理代行を契約した後、「最初に何を準備すればよいのか」と悩む会社もあるのではないでしょうか。
経理代行は、契約した直後からすべての業務を任せられるとは限りません。
最初の1カ月は、必要な資料やシステム環境を整え、実際の業務を進めながら、会社側と経理代行側の役割を確認する期間です。
この記事では、経理代行を導入した最初の1カ月で行うことを、第1週から第4週までの流れに沿って解説します。
経理代行のサービス内容や導入までの全体的な流れについては、以下の記事をご覧ください。
合わせて読みたい:経理代行とは?業務内容・導入の流れを解説
最初の1カ月で行うこと
会社の状況や委託する業務によって進め方は異なりますが、最初の1カ月はおおむね次の流れで進みます。
| 時期 | 主な実施事項 |
|---|---|
| 第1週 | 委託範囲、現在の業務、担当者、スケジュールの確認 |
| 第2週 | 資料の共有、アカウント発行、アクセス権限の設定 |
| 第3週 | 実際の業務を使った試行、質問・承認方法の確認 |
| 第4週 | 初回の月次処理、課題整理、翌月の運用調整 |
最初から細かなマニュアルやルールをすべて完成させる必要はありません。
なお、導入日が月の途中である場合や、資料・システムの整理に時間がかかる場合は、第4週までに初回の月次処理が完了しないこともあります。
週ごとの区分はあくまで目安とし、業務開始に必要な準備から順番に進めます。
まずは、経理代行側が業務を開始できる状態を整え、実際の処理を通じて不足している点を確認することが重要です。
第1週|業務範囲と導入スケジュールを確認する
最初の週は、契約内容と現在の経理業務を照らし合わせ、導入の進め方を確認します。
委託する業務を確認する
契約書や見積書をもとに、経理代行側が担当する業務を確認します。
例えば、次のような業務です。
- 記帳
- 請求書の発行・管理
- 入金確認
- 支払予定表・振込データの作成
- 経費精算
- 給与計算
- 月次資料の作成
あわせて、会社側に残る業務も確認します。
- 必要資料の提出
- 取引内容への回答
- 請求金額の決定
- 支払いの最終承認
- 振込実行
- 月次資料の確認
- 経営判断
現在の業務スケジュールを共有する
次のような日程を共有します。
- 請求書の発行日
- 支払予定の確認日
- 経費申請の締め日
- 給与計算の締め日
- 月次資料の提出期限
- 会社側の資料提出日
経理代行側の作業日だけでなく、会社側が資料を提出し、確認・承認する日も決めることが重要です。
社内の担当者を決める
導入初月は確認事項が発生しやすいため、社内の担当者を決めます。
- 日常的な連絡窓口
- 資料を提出する担当者
- 取引内容を説明する担当者
- 支払いの承認者
- 月次資料の確認者
- 緊急時の連絡先
担当者が不在の場合の代理者も決めておくと、業務が止まりにくくなります。
第2週|資料共有とシステム環境を整える
第2週は、経理代行側が業務を開始するために必要な資料とシステム環境を整えます。
必要な資料を共有する
会社によって異なりますが、次のような資料を確認します。
- 過去の試算表
- 総勘定元帳
- 銀行口座の入出金データ
- クレジットカード利用明細
- 売掛金・買掛金の一覧
- 給与台帳
- 主要な契約書
- 請求書や領収書の保存場所
すべての資料を最初から完璧に整理する必要はありませんが、業務開始に必要な資料を特定し、未整理の資料については担当者と提出期限を決めておきます。
また、継続的に使用する資料については、保存場所と毎月の提出担当者も明確にしておきましょう。
アカウントと権限を設定する
使用するシステムについて、必要なアカウントを用意します。
- 会計ソフト
- オンラインストレージ
- 請求書発行システム
- 経費精算システム
- 給与計算システム
- チャットや連絡ツール
経理代行側へ付与する権限は、委託する業務に必要な範囲に限定します。
支払業務に関する権限を設定する際は、経理代行側が作成するデータと、会社側が確認・承認する範囲を明確にしておくことが重要です。
支払業務の工程ごとの役割分担については、以下の記事で詳しく解説しています。
合わせて読みたい:経理代行の支払業務はどこまで任せられる?振込データ作成と承認の役割分担
連絡方法を決める
オンラインで経理代行を利用する場合は、資料提出や質問への回答をオンラインで行います。
次の点を決めておきましょう。
- 日常的に使う連絡手段
- 資料の提出方法
- 緊急時の連絡方法
- 回答期限
- Web会議を行う頻度
オンラインで経理代行を利用する仕組みについては、以下の記事で解説しています。
合わせて読みたい:オンラインの経理代行でも大丈夫?遠隔対応の仕組みとメリットを解説
第3週|実際の業務を試し、役割分担を確認する
第3週は、準備した資料やシステムを使い、実際の業務を一部進めます。
例えば、次のような処理です。
- 数件の取引を記帳する
- 請求書を作成する
- 入金状況を確認する
- 支払予定表を作成する
- 経費申請を確認する
- 不明取引について会社へ質問する
実際の業務を行うことで、事前の打ち合わせだけでは分からなかった課題が見つかります。
確認したいポイント
- 必要な資料が予定どおり提出されているか
- 経理代行側が必要な情報へアクセスできるか
- 不明点を誰へ確認するか
- 会社側が期限内に回答できるか
- 支払いの確認・承認が進むか
- 作成された資料が想定した形式になっているか
運用ルールを調整する
第3週では、実際の処理で分かった課題をもとに、次のようなルールを調整します。
- 資料提出の期限
- ファイル名や保存場所
- 質問への回答方法
- 承認を依頼する方法
- 緊急対応の連絡先
- 月次資料の確認方法
導入後に決めておきたい運用ルールについては、以下の記事で詳しく解説しています。
合わせて読みたい:経理代行を導入した後に決めるべき5つの運用ルール
第4週|初回の月次処理を確認する
第4週は、最初の月次処理を進めながら、翌月以降の運用へつなげます。
月次処理では、次のような内容を確認します。
- 資料の提出漏れ
- 不明取引
- 売掛金・買掛金の残高
- 未処理の請求書
- 支払予定
- 勘定科目や摘要
- 月次資料の内容
- 翌月へ持ち越す確認事項
初月は、通常よりも質問や確認が多くなることがあります。
この段階で認識を合わせておけば、翌月以降は同じ質問や修正を減らしやすくなります。
初月終了時に振り返ること
第4週の終わりには、次の内容を確認します。
- 予定していた業務を実施できたか
- 提出が遅れた資料は何か
- 確認に時間がかかった取引は何か
- 権限やシステム設定に不足がなかったか
- 会社側の承認が予定どおり進んだか
- 同じ質問や差し戻しが翌月も発生しそうな項目は何か
- 翌月から変更するルールはあるか
繰り返し発生しそうな質問や差し戻しは、翌月以降の運用ルールや手順書へ反映します。
月次決算をどこまで経理代行へ任せられるのか、会社側にどのような対応が残るのかについては、以下の記事をご覧ください。
合わせて読みたい:経理代行は月次決算まで任せられる?業務範囲・締め日・社内対応を解説
導入初月にすべてを完成させる必要はない
最初の1カ月で、すべての業務手順や例外対応を整理することは難しい場合があります。
特に、年に一度しか発生しない業務や、まれにしか起きない取引は、初月には確認できません。
導入初月に優先したいのは、次の内容です。
- 毎月発生する業務を開始できる
- 必要な資料を共有できる
- 質問と回答の流れが機能する
- 会社側の確認・承認が進む
- 最初の月次処理を進められる、または完了までの見通しが立つ
細かな例外対応やマニュアルは、実際の運用で必要になった段階で追加します。
導入初月に起こりやすい問題
委託範囲が関係者へ共有されていない
契約担当者だけが委託内容を把握し、実際に資料を提出する社員へ共有されていない場合があります。
導入前に、経理代行へ任せる業務と社内に残る業務を関係者へ説明しましょう。
資料提出が予定どおり進まない
保存場所や提出担当者が決まっていないと、必要な資料が集まりません。
資料ごとに提出担当者と期限を決める必要があります。
アカウントや権限の設定が間に合わない
管理者が不明な場合や、社内承認が必要な場合は、アカウント発行に時間がかかることがあります。
必要なシステムを第1週に洗い出し、早めに手続きを進めましょう。
社内の回答や承認が止まる
経理代行側が質問しても、誰が回答するか決まっていなければ業務が止まります。
窓口担当者、承認者、代理者を決めておくことが重要です。
導入前後に確認したい注意点については、以下の記事でも解説しています。
合わせて読みたい:経理代行で失敗しないための完全ガイド|導入前後に知っておきたい注意点
よくある質問
Q1. 契約したらすぐにすべての業務を任せられますか?
会社の状況や委託する業務によって異なります。
最初の1カ月は、資料共有、権限設定、役割分担を確認しながら、段階的に業務を開始する場合があります。
Q2. 資料が整理できていなくても導入できますか?
導入できる場合もあります。
ただし、資料の保存場所や担当者が分からない場合は、業務開始までに整理が必要になります。
Q3. クラウド会計を使用していなくても導入できますか?
対応は経理代行会社や契約内容によって異なります。
現在の会計ソフトを継続して使用する場合もあれば、今後の運用に合わせてクラウド会計を検討する場合もあります。
Q4. 初月から月次決算まで対応してもらえますか?
資料の状態、導入日、委託範囲によって異なります。
初月から月次処理を行う場合は、資料提出日、締め日、会社側の確認期限を早めに決める必要があります。
まとめ
経理代行を導入した最初の1カ月は、次の流れで進めます。
- 第1週:委託範囲、担当者、スケジュールを確認する
- 第2週:資料共有、アカウント、権限を準備する
- 第3週:実際の業務を試し、役割分担を確認する
- 第4週:初回の月次処理を行い、翌月の運用を調整する
初月の目的は、すべてのルールを完成させることではありません。
会社側と経理代行側が連携し、毎月の経理業務を進められる状態をつくることが重要です。
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経理代行の料金相場や費用の内訳については、以下の記事も参考にしてください。
合わせて読みたい:経理代行の費用はいくら?料金相場と内訳を解説
