鷲見明(公認会計士) この記事の監修者:鷲見明(公認会計士)

経理代行が向いている会社・向いていない会社とは?導入判断のポイントを解説

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経理代行が自社に向いているかどうかは、会社の規模や経理担当者の人数だけでは決まりません。

重要なのは、社内の経理業務を外部と分担できるか、必要な情報を共有できるか、決めたルールに沿って運用できるかという点です。

経理業務に課題があっても、すべての判断をその場で行う必要がある会社や、証憑・会計データを社外へ共有できない会社では、経理代行を活用しにくい場合があります。

反対に、定型業務と社内判断を切り分け、資料提出や承認の流れを整えられる会社であれば、経理代行と役割分担しやすくなります。

この記事では、経理代行との相性という観点から、向いている会社・向いていない会社の特徴と、導入適性を判断するポイントを解説します。

経理代行によって会社全体にどのような変化が期待できるかは、以下の記事で詳しく解説しています。

合わせて読みたい:経理代行で会社はどう変わる?導入効果を徹底解説

目次

経理代行が向いている会社とは?

経理代行に向いているのは、単に経理業務が多い会社ではありません。

社内で行う判断や承認と、外部へ任せられる定型業務を分け、決めた方法で情報共有できる会社ほど活用しやすくなります。

経理代行の基本的な仕組みや依頼できる業務、導入の流れについては、以下の記事をご覧ください。

合わせて読みたい:経理代行とは?業務内容・導入の流れを解説

定型業務と社内判断を切り分けられる会社

経理代行は、仕訳入力や請求書発行、支払データ作成など、一定のルールに沿って繰り返す業務との相性が良いサービスです。

一方、支払いの最終承認や取引内容の判断などは、会社側で行う必要があります。

どの業務を外部へ任せ、どの判断を社内に残すのかを整理できる会社は、経理代行との役割分担を明確にしやすくなります。

経理代行で改善しやすい業務と、経理代行だけでは対応できないことについては、以下の記事で詳しく解説しています。

合わせて読みたい:経理代行で改善できること・できないこととは?導入前に知っておきたいポイント

必要な情報を社外へ共有できる会社

経理代行では、請求書、領収書、入出金データ、会計ソフトの情報などを共有しながら業務を進めます。

共有方法は、クラウドストレージや会計ソフト、専用システムなどサービスによって異なりますが、必要な情報を安全に受け渡せることが前提です。

社内の情報管理ルールを確認し、必要な範囲で外部共有できる会社は、経理代行を利用しやすいといえます。

業務ルールの標準化に協力できる会社

経理代行を利用する際は、資料の提出期限や保存場所、請求書の処理方法などを決める必要があります。

担当者ごとに異なる方法を続けるのではなく、共通のルールへ揃える姿勢がある会社ほど、外部との連携がスムーズです。

現在の進め方に課題がある場合でも、経理代行会社と相談しながらルールを見直せる会社であれば、導入を進めやすくなります。

社内の窓口と承認者を決められる会社

経理代行へ業務を任せても、取引内容の確認や支払いの最終承認など、会社側で対応する業務は残ります。

問い合わせ先や承認者が決まっていないと、確認待ちで処理が止まることがあります。

外部との連絡窓口と、社内で判断する担当者を明確にできる会社は、経理代行とのやり取りを安定させやすくなります。

決められたスケジュールで業務を進められる会社

多くの経理代行では、資料の提出日、支払データの確認日、月次処理の締め日などを事前に決めて運用します。

毎回その場で依頼内容を変えるのではなく、一定のスケジュールに沿って業務を進められる会社の方が適しています。

緊急対応がまったくできないという意味ではありませんが、通常業務を計画的に進められることが重要です。

一部業務から段階的に任せたい会社

経理代行と相性がよいのは、最初からすべての業務を委託しようとするのではなく、記帳や支払データ作成など、ルール化しやすい定型業務から切り出せる会社です。

まずは一部の業務で情報共有や承認の流れを整え、運用を確認したうえで、必要に応じて請求書管理や月次資料作成へ依頼範囲を広げることで、社内との役割分担を明確にしやすくなります。

クラウド会計やオンラインでの連携に対応できる会社

オンライン型の経理代行では、クラウド会計やデータ共有ツールを使って業務を進めることがあります。

紙の原本を毎回手渡しする方法に限定せず、必要に応じて書類のデータ化やオンラインでの確認に対応できる会社は、経理代行を活用しやすくなります。

クラウド会計を利用していても運用方法が定まっていない場合は、経理代行を通じて役割や手順を整理する方法があります。

合わせて読みたい:中小企業の経理DX|導入のための実践7ステップ

経理代行が向いていない会社とは?

経理業務に負担があっても、会社側の運用方針と経理代行の進め方が合わなければ、期待した成果につながらないことがあります。

ここでは、導入前に特に確認したい相性上の注意点を説明します。

経理情報を社外へ共有できない会社

経理代行を利用するには、業務に必要な資料やデータを外部へ共有する必要があります。

社内規定などにより、請求書や入出金情報を一切社外へ共有できない場合は、経理代行を利用できる範囲が限られます。

セキュリティ対策や権限設定を確認しても共有が難しい場合は、社内処理を続ける方が適していることがあります。

社内固有の判断が必要な業務が極端に多い会社

案件ごとに処理方法が異なり、社内事情を知る担当者でなければ判断できない業務が大半を占める場合は、外部へ切り出せる範囲が限られます。

経理代行へ依頼する前に、定型化できる業務と、社内判断が必要な業務を分けられるか確認する必要があります。

切り分けが難しい場合は、まず業務ルールの整理を優先した方がよいでしょう。

すべての業務に即時対応を求める会社

経理代行は、あらかじめ決めた提出期限や処理スケジュールに沿って進めるのが基本です。

すべての依頼に対してその場での対応を求める会社や、予定外の作業が頻繁に発生する会社では、サービスの運用方法と合わない場合があります。

緊急時の対応範囲や連絡方法について、契約前に確認しておく必要があります。

常に対面での対応を求める会社

オンライン型の経理代行では、資料共有や打ち合わせをオンラインで行うことがあります。

毎日の対面対応や、紙資料の手渡しだけを希望する場合は、利用できるサービスが限られます。

対面対応が必要な頻度を整理し、自社の希望に合うサービスか確認することが大切です。

業務ルールを変更する意思がない会社

資料提出が遅れる、担当者ごとに保存方法が異なる、承認者が決まっていないといった状態を変えないままでは、経理代行を導入しても処理が滞ります。

既存の進め方をすべて否定する必要はありませんが、外部と連携するために必要な範囲では、ルールを整える協力が求められます。

現在の方法を一切変えたくない場合は、経理代行との相性が良いとはいえません。

社内の窓口や承認者を決められない会社

経理代行会社から確認事項があっても、誰に聞けばよいか分からない状態では処理を進められません。

支払いや取引内容の判断を行う担当者が決まっていない場合も、確認待ちが発生しやすくなります。

外部へ任せる業務だけでなく、社内に残る責任と担当者を決める必要があります。

単純な最安値だけを求めている会社

経理代行は、料金によって対応業務、確認体制、連絡頻度などが異なります。

最安値だけを基準にすると、必要な業務が含まれていなかったり、追加料金が発生したりする場合があります。

料金とともに、自社が任せたい範囲や必要な対応方法に合っているかを確認することが大切です。

経理代行との相性を確認するチェックリスト

次の項目に当てはまるか確認してみましょう。

  • 定型業務と社内判断が必要な業務を分けられる
  • 請求書や会計データを安全な方法で社外へ共有できる
  • 資料提出の期限や保存ルールを整えられる
  • 社内の連絡窓口と承認者を決められる
  • 通常業務を決められたスケジュールで進められる
  • オンラインでの資料共有や確認に対応できる
  • 必要に応じて現在の業務ルールを見直せる

チェック結果の目安

0〜2項目

現時点では、経理代行と役割分担するための準備が整っていない可能性があります。まずは情報共有方法や社内の担当者を整理するとよいでしょう。

3〜5項目

一部業務から経理代行を利用できる可能性があります。依頼したい業務と社内に残す業務を分けて検討してみましょう。

6項目以上

経理代行と連携しやすい運用体制が整っていると考えられます。候補会社の対応範囲や連絡方法を確認し、自社に合うサービスを比較しましょう。

※チェック項目や該当数は、経理代行との相性を確認するための一般的な目安です。会社の業種、情報管理方針、業務内容によって判断は異なります。

実際に経理代行を導入した会社が、どのような課題を改善したのか確認したい方は、以下の記事も参考にしてください。

合わせて読みたい:経理代行の成功事例5選 課題別に解説

全面的な経理代行が向いていない場合の選択肢

経理代行との相性が良くない場合でも、現在の経理体制を見直す方法はあります。

一部業務だけ外注する

現時点で全面的な導入が難しい場合は、記帳やデータ入力など、判断が少なく切り分けやすい定型業務だけを外注する方法があります。

クラウド会計の導入支援だけを依頼する

日常業務を自社で行える場合は、クラウド会計の設定やデータ連携など、導入部分のみ支援を受ける方法があります。

社内マニュアルを整備する

外部との情報共有が難しい場合は、業務手順や保存場所、承認の流れを社内マニュアルとして整理する方法があります。

税理士・社労士との役割を整理する

税務や労務に関する課題が中心であれば、税理士や社労士へ依頼する範囲を見直す方が適していることがあります。

経理代行を検討し始める時期については、以下の記事で詳しく解説しています。

合わせて読みたい:経理代行を導入するタイミングとは?中小企業が外注を検討したい7つのサイン

経理代行だけでなく、社員の採用や一部業務の外注を含めて経理体制を検討したい方は、以下の記事をご覧ください。

合わせて読みたい:中小企業の経理体制の作り方|採用・外注・経理代行の選び方

まとめ

経理代行が向いているかどうかは、会社の規模や経理担当者の人数だけでは判断できません。

定型業務と社内判断を切り分けられるか、必要な情報を安全に共有できるか、資料提出や承認のルールを整えられるかといった、運用上の相性が重要です。

反対に、情報を社外へ共有できない、すべての業務に即時・対面対応を求める、業務ルールを変更できないといった場合は、経理代行を活用しにくい可能性があります。

自社に合うかどうかを判断する際は、外注できる業務だけでなく、会社側に残る判断や承認まで含めて役割分担を確認しましょう。

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合わせて読みたい:経理代行の費用はいくら?料金相場と内訳を解説

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