鷲見明(公認会計士) この記事の監修者:鷲見明(公認会計士)

経理の未処理一覧とは?月次決算までに解消する管理方法

経理の未処理一覧に記載する項目と月次決算までに解消する管理方法を解説する画像

「確認しなければならない取引が増えて、何が残っているのか分からない」

「担当者へ問い合わせたものの、回答が来ているのか把握できていない」

「月次決算の直前になって、未処理の取引が次々に見つかる」

経理業務では、すべての取引をその場で処理できるとは限りません。

請求書が届いていない、取引内容を確認できない、社内承認が終わっていないなど、何らかの理由で処理を完了できない項目が発生します。

こうした未処理事項を担当者の記憶やメールだけで管理していると、確認漏れや対応の遅れが起こりやすくなります。

そこで活用したいのが「未処理一覧」です。

未処理一覧を作成すると、何が止まっているのか、誰の対応を待っているのか、いつまでに解消する必要があるのかをまとめて確認できます。

この記事では、経理の未処理一覧に記載したい項目や作り方、月次決算までに未処理事項を解消するための管理方法を解説します。

経理業務全体が滞っている場合の優先順位や立て直し方については、以下の記事で詳しく解説しています。

合わせて読みたい:経理が回らない会社の立て直し方|優先順位と7つの改善手順


目次

経理の未処理一覧とは?

経理の未処理一覧とは、現時点では処理を完了できない取引や確認事項を一覧にしたものです。

未処理一覧は法令で定められた帳簿や様式ではなく、未処理事項を解消するために社内で作成する管理表です。

例えば、次のような項目があります。

  • 請求書がまだ届いていない
  • 領収書や証憑が不足している
  • 入出金の内容を確認できていない
  • 経費申請が承認待ちになっている
  • 売掛金の入金内容を確認できていない
  • 買掛金や未払金の残高に差異がある
  • 社内担当者へ確認しているが回答がない
  • 会計処理について確認が必要になっている

買掛金や未払金の残高差異が未処理として残っている場合は、金額だけを合わせるのではなく、請求・支払・帳簿のどこで差額が生じているのかを確認する必要があります。

合わせて読みたい:買掛金・未払金の残高が合わない7つの原因|請求・支払・帳簿を照合する6つの手順

重要なのは、単に「処理できていないもの」を並べることではありません。

未処理になっている理由と、次に誰が何をするのかまで分かる状態にすることが未処理一覧の目的です。

この記事では、複数月にわたる月次決算全体の遅れを取り戻す方法ではなく、個々の未処理事項を把握し、解消まで管理する方法を扱います。


未処理事項を一覧にしないと月次決算が遅れやすい

未処理事項が数件であれば、担当者が覚えておけることもあります。

しかし、月末や月初になると複数の確認が同時に発生します。

例えば、

「営業担当者へ請求内容を確認している」

「経費申請の修正を依頼している」

「取引先から請求書が届くのを待っている」

といった事項が重なると、どこまで確認したのか分からなくなりやすくなります。

メール、チャット、口頭など確認方法が分かれている場合は、さらに管理が難しくなります。

未処理一覧を作成しておけば、

  • 何が未処理なのか
  • なぜ処理できないのか
  • 誰の対応を待っているのか
  • いつまでに確認するのか

を一か所で確認できます。

月次決算を進めるうえでは、未処理事項が一件もないことだけを目指すのではなく、残っている事項を把握し、解消まで管理できている状態をつくることが重要です。


未処理一覧に記載したい8つの項目

未処理一覧は、項目を増やしすぎると更新が負担になります。

まずは、処理を進めるために必要な情報を記載します。

1.対象月

どの月の月次決算に関係する未処理事項なのかを記載します。

複数月の未処理事項を一つの一覧で管理する場合は、対象月が分からないと優先順位を判断しにくくなります。

2.発生日・確認日

取引が発生した日や、未処理事項として把握した日を記載します。

長期間残っている項目を把握するためにも役立ちます。

3.未処理の内容

何が止まっているのかを具体的に記載します。

「請求書待ち」

だけではなく、

「A社 7月分システム利用料の請求書待ち」

のように、後から見ても内容が分かる形にします。

4.未処理の理由

処理できない理由を記載します。

例えば、

  • 資料待ち
  • 社内回答待ち
  • 承認待ち
  • 取引内容の確認待ち
  • 残高差異の確認
  • 会計処理の確認

などです。

未処理の理由を分類しておくと、どの工程で止まりやすいのかも把握できます。

5.金額または影響

金額が分かる場合は記載します。

金額がまだ確定していない場合でも、「月次損益へ影響する」「残高確認が必要」など、月次決算への影響を記載しておくと優先順位を判断しやすくなります。

6.確認先・対応者

誰に確認しているのか、次に誰が対応するのかを記載します。

例えば、

  • 営業担当者
  • 経費申請者
  • 経理責任者
  • 取引先
  • 外部専門家

などです。

「確認中」とだけ記載すると、誰の対応待ちなのか分からなくなります。

7.対応期限

いつまでに回答や資料が必要なのかを決めます。

月次決算の締め日から逆算して設定します。

期限を設定しないと、未処理事項が一覧に残ったまま放置される可能性があります。

8.現在のステータス

現在の状況を記載します。

例えば、

  • 未確認
  • 確認依頼済み
  • 回答待ち
  • 対応中
  • 解消済み

などです。

ステータスを統一しておけば、未処理一覧を見ただけで進捗を把握できます。


未処理一覧の作り方

未処理一覧は、特別なシステムがなくても作成できます。

Excelやスプレッドシートなど、担当者が更新しやすい方法から始めても構いません。

例えば、次のように管理します。

対象月内容理由金額・影響確認先期限ステータス
7月A社 外注費請求書資料待ち約20万円A社8/3回答待ち
7月カード利用1件取引内容不明15,000円営業担当8/2確認依頼済み
7月経費精算3件承認待ち45,000円部門長8/2対応中
7月売掛金差額入金内容確認10万円営業担当8/4未確認

一覧を作っただけで未処理事項が解消するわけではありません。

一覧を見れば、次に誰が何をすべきか分かる状態にすることが大切です。

未処理一覧は、資料待ちや確認待ち、残高差異など、通常どおり処理できない個別事項を解消まで管理するためのものです。一方、請求書発行や支払、記帳、残高確認など、毎月発生する定型業務全体の進み具合を管理する場合は、進捗管理表を分けて運用すると整理しやすくなります。

合わせて読みたい:経理業務の進捗管理とは?遅れを防ぐ7つの管理項目と運用方法


未処理事項は4つに分けると管理しやすい

未処理事項が増えてきた場合は、内容ごとに分類すると確認しやすくなります。

資料待ち

請求書、領収書、契約書など、処理に必要な資料が不足している状態です。

資料を提出する担当者と期限を決めます。

社内確認・承認待ち

取引内容の確認や経費申請の承認など、社内対応を待っている状態です。

誰へ依頼したのかと、回答期限を記録します。

取引・残高の確認

入出金の内容や売掛金・買掛金などについて確認が必要な状態です。

この段階では、一覧上で「何について確認しているのか」を明確にすることが重要です。

差額を具体的に解消する方法については、それぞれの業務ごとに確認します。

会計処理の確認

通常と異なる取引などで、処理方法について確認が必要な状態です。

判断が必要な事項は、担当者だけで止めず、確認する責任者や専門家を明確にします。


未処理一覧を月次決算までに解消する5つの管理ルール

1.未処理になった時点で一覧へ追加する

月末になってからまとめて未処理事項を探すのではなく、処理できないことが分かった時点で一覧へ追加します。

「後で確認しよう」と担当者の記憶だけに頼ると、確認自体を忘れる可能性があります。

未処理になった時点で記録するルールを決めておくと、抜け漏れを減らせます。

2.必ず担当者を決める

未処理一覧には、必ず次に対応する担当者を設定します。

複数人が関係する項目でも、

「誰かが確認する」

ではなく、

「営業部Aさんへ確認」

のように明確にします。

担当者が設定されていない未処理事項は、そのまま残りやすくなります。

3.期限を月次決算の締め日から逆算する

すべての未処理事項を同じ期限にする必要はありません。

月次決算への影響を確認し、いつまでに回答が必要なのかを決めます。

例えば、翌月10日に月次決算を完了したい場合、10日当日に初めて確認を依頼するのでは遅くなります。

資料提出、社内確認、修正処理に必要な時間を考え、締め日より前に期限を設定します。

4.期限超過を優先して確認する

一覧に項目を追加しても、更新しなければ意味がありません。

毎日または定期的に一覧を確認し、期限を過ぎている項目を優先して対応します。

特に、

  • 前月から繰り越している
  • 金額への影響が大きい
  • 月次決算を止めている
  • 他の処理にも影響している

項目は優先度を上げます。

件数だけを見るのではなく、どの項目が月次決算を止めているのかを確認することが重要です。

5.解消した項目も履歴を残す

回答が来たら、未処理一覧からすぐに削除するのではなく、「解消済み」として一定期間残しておくと便利です。

同じ確認が翌月も発生したときに、前回どのように対応したのか確認できます。

同じ種類の未処理事項が繰り返されている場合は、個別対応だけでなく、業務ルールそのものを見直すきっかけにもなります。

毎月の月末時点で確認する項目を固定したい場合は、以下の記事も参考にしてください。

合わせて読みたい:経理の月末業務チェックリスト|月次決算前に確認したい10項目


未処理事項の優先順位は「件数」だけで決めない

未処理事項が多いと、件数を減らすことに意識が向きやすくなります。

しかし、10件の少額な確認事項よりも、月次決算を止めている1件を先に確認した方がよい場合があります。

優先順位を考えるときは、例えば次の点を確認します。

確認項目優先度を上げたい状態
月次決算への影響数字を確定できない
金額月次数値への影響が大きい
期限回答期限を過ぎている
滞留期間前月以前から残っている
後続業務他の処理も止まっている

「未処理が何件あるか」だけでなく、「どの未処理を解消すれば月次決算が進むのか」で見ることが大切です。


不明取引だけが未処理事項ではない

未処理一覧を作ると、不明取引だけを記録してしまうことがあります。

しかし、月次決算を止める要因は不明取引だけではありません。

請求書の未着、承認待ち、証憑不足、残高差異なども未処理事項です。

そのため、不明取引だけのリストではなく、月次決算までに確認が必要な項目をまとめて管理します。

不明取引が繰り返し発生している場合は、確認方法だけでなく、そもそも不明取引をためない運用を整えることが重要です。


複数月の未処理事項が残っている場合

未処理事項が1カ月分ではなく、複数月にわたって残っている場合は、対象月を必ず分けて管理します。

例えば、次のように整理します。

対象月未処理件数最優先項目状態
5月2件売掛金差額回答待ち
6月5件未着請求書確認中
7月8件複数項目未対応あり

どの月に何が残っているのかを確認できるようにします。

翌月の入力作業を進めながら、月次決算としては古い月から順番に未処理事項を解消し、数字を確定していきます。

過去月の月次決算そのものが遅れている場合の立て直し方については、以下の記事で詳しく解説しています。

合わせて読みたい:月次決算の遅れを取り戻す方法|過去月から通常月へ追いつく6つの手順


未処理一覧を作っても減らない場合に確認したいこと

一覧を作成しても未処理事項が減らない場合は、管理表ではなく業務の進め方に原因がある可能性があります。

例えば、

  • 確認先が決まっていない
  • 回答期限を設定していない
  • 担当者が一覧を確認していない
  • 未処理事項を追加するだけになっている
  • 同じ原因の未処理が毎月発生している

といった状態です。

未処理一覧は、未処理事項を保管する場所ではありません。

解消するための管理表として運用することが重要です。

毎月同じ項目が残る場合は、提出期限、承認ルール、資料の保管方法など、発生原因そのものを見直します。


経理代行を利用するときも未処理一覧を共有する

経理代行へ業務を依頼している場合も、未処理一覧は役立ちます。

外部担当者から確認事項が届いたときに、メールやチャットだけでやり取りすると、回答済みなのか、誰の回答を待っているのか分かりにくくなることがあります。

未処理一覧を共有し、

  • 経理代行側で対応すること
  • 会社側で確認すること
  • 回答期限
  • 現在の状況

を分けると、双方の役割を確認しやすくなります。

ただし、取引内容の判断や社内承認など、会社側で対応する必要がある業務は残ります。

経理代行へ依頼できる一般的な業務内容については、以下の記事で詳しく解説しています。

合わせて読みたい:経理代行とは?業務内容・導入の流れを解説


公認会計士の視点|未処理件数より「滞留期間」を確認する

未処理一覧を管理するときは、件数だけを追わないことが重要です。

未処理事項が10件から5件へ減っていても、3カ月前から残っている重要な項目が1件あれば、月次決算や残高の信頼性に影響する可能性があります。

例えば、次のように滞留期間を分けて確認します。

滞留期間管理の考え方
当月通常の確認期間内
前月から継続優先して状況を確認
2カ月以上原因・担当者・対応方針を再確認
長期滞留管理者を含めて対応方法を決定

重要なのは、「未処理事項が何件あるか」だけではありません。

いつから残っているのか、なぜ解消していないのかまで確認することで、長期間放置されている項目を見つけやすくなります。

未処理一覧は、月次決算を締めるためのチェック表であると同時に、経理業務のどこで確認や承認が滞っているのかを把握する資料にもなります。


よくある質問

Q1. 未処理一覧は毎月作り直した方がよいですか?

毎月ゼロから作り直す必要はありません。

継続して同じ一覧を利用し、解消済みの項目と翌月へ引き継ぐ項目を分ける方法があります。

対象月やステータスを記載し、現在残っている未処理事項が分かる状態にします。

Q2. 未処理事項は月末までにすべて解消する必要がありますか?

必ずしもすべてを月末までに解消できるとは限りません。

資料の到着時期や社内確認の状況によっては、月初まで確認が続く場合があります。

重要なのは、残っている内容、担当者、期限、月次数値への影響を把握し、月次決算までにどのように対応するかを決めておくことです。

Q3. 未処理一覧は誰が管理するべきですか?

経理担当者が更新する方法が一般的ですが、未処理事項ごとの対応者は別に設定します。

一覧そのものの管理責任者と、各項目を解消する担当者を分けると運用しやすくなります。

Q4. 未処理事項が多すぎる場合はどこから対応すればよいですか?

月次決算を止めている項目、金額への影響が大きい項目、期限を過ぎている項目、長期間残っている項目から優先して確認します。

件数を減らすことだけを目的にせず、月次決算への影響を基準に優先順位を決めます。

Q5. 未処理一覧はExcelやスプレッドシートでも管理できますか?

はい。

重要なのは使用するツールではなく、必要な項目を記載し、担当者が継続して更新できることです。

未処理事項が増え、複数人で管理するようになった場合は、自社の運用に合った共有方法を検討します。


まとめ

経理の未処理一覧は、処理できていない事項を並べるだけの表ではありません。

何が止まっているのか、なぜ処理できないのか、誰が対応するのか、いつまでに解消するのかを明確にするための管理表です。

未処理一覧を運用するときは、

  1. 未処理になった時点で追加する
  2. 必ず担当者を決める
  3. 月次決算から逆算して期限を設定する
  4. 期限超過や重要な項目を優先して確認する
  5. 解消済みの履歴も一定期間残す

ことを意識します。

また、未処理件数だけではなく、月次決算への影響や滞留期間も確認することが重要です。

未処理事項を一覧で管理し、月次決算までに解消する流れをつくることで、確認漏れや長期滞留を防ぎやすくなります。

経理代行を利用する場合の費用は、取引件数、確認事項の量、資料の状態、依頼する業務範囲などによって変わります。

一般的な料金相場や費用の内訳については、以下の記事で詳しく解説しています。

合わせて読みたい:経理代行の費用はいくら?料金相場と内訳を解説

「何を確認中なのか分からなくなっている」

「未処理事項が毎月積み残されている」

「月次決算の直前に確認事項が集中している」

このような場合は、現在残っている未処理事項を整理し、担当者や期限を明確にするところからご相談いただけます。

まるまる経理では、経理業務の状況を整理し、未処理事項を継続して管理できる運用づくりをサポートします。

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