経理代行の見積金額は、会社の規模だけで決まるものではありません。
依頼する業務の範囲や毎月の処理件数、現在の資料管理の状態などによって、経理代行会社に必要な作業時間が変わるためです。
そのため、売上規模や従業員数が同程度の会社でも、見積金額が同じになるとは限りません。
この記事では、経理代行の料金が決まる主な要因を7つに分けて解説します。
経理代行の料金相場や料金体系の全体像を先に確認したい方は、以下の記事をご覧ください。
合わせて読みたい:経理代行の費用はいくら?料金相場と内訳を解説
経理代行の見積金額は業務量と対応範囲で決まる
経理代行の見積金額を左右するのは、経理担当者が処理する必要のある業務量です。
代表的な要因を整理すると、次のようになります。
| 見積金額に影響する要因 | 確認される主な内容 |
|---|---|
| 依頼する業務範囲 | 記帳、請求書管理、支払準備、給与計算など |
| 仕訳件数 | 毎月処理する取引の件数 |
| 請求書・支払件数 | 発行する請求書や支払予定の件数 |
| 従業員数 | 給与計算や経費精算の対象人数 |
| 会計ソフト・資料の状態 | クラウド会計、紙資料、複数システムの利用状況 |
| 月次資料の内容と期限 | 作成する資料、締め日、報告の頻度 |
| 導入時の整理や追加対応 | 初期設定、データ移行、業務フローの整理など |
見積もりを依頼する際は、自社の状況をできるだけ具体的に伝えることが重要です。
情報が不足していると、契約後に想定していた業務量との差が生じ、料金の見直しが必要になることがあります。
料金が決まるポイント① 依頼する業務範囲
見積金額に最も大きく影響するのが、どこまでの業務を依頼するかです。
例えば、記帳だけを依頼する場合と、請求書の発行、支払予定表の作成、給与計算、月次資料の作成までまとめて依頼する場合では、必要な作業量が異なります。
依頼できる代表的な業務には、次のようなものがあります。
- 記帳
- 請求書の発行・管理
- 入金確認
- 支払予定表・振込データの作成
- 経費精算
- 売掛金・買掛金管理
- 給与計算
- 月次資料の作成
同じ「経理代行」という名称でも、基本料金に含まれる業務は会社によって異なります。
見積書を確認するときは、サービス名だけで判断せず、具体的な業務内容まで確認しましょう。
経理代行の仕組みや導入までの流れについては、以下の記事で解説しています。
合わせて読みたい:経理代行とは?業務内容・導入の流れを解説
料金が決まるポイント② 仕訳件数
会計ソフトへ入力する仕訳の件数も、見積金額に影響します。
仕訳件数が多いほど、入力や証憑の確認、不明取引への問い合わせなどに時間がかかるためです。
見積もりを依頼する際は、直近数か月の仕訳件数を確認しておくと、実際の業務量に近い金額を提示してもらいやすくなります。
毎月の件数にばらつきがある場合は、通常月だけでなく、繁忙期の件数も共有しましょう。
また、見積書では次の点を確認します。
- 基本料金に含まれる仕訳件数
- 件数の数え方
- 件数が変動した場合の料金
- 繁忙期の取り扱い
仕訳件数の基準が曖昧なままでは、各社の見積もりを正確に比較できません。
料金が決まるポイント③ 請求書・支払予定の件数
請求書の発行や支払準備を依頼する場合は、毎月処理する件数も料金に影響します。
確認される主な件数は次のとおりです。
- 発行する請求書の件数
- 受領する請求書の件数
- 入金確認を行う件数
- 支払予定の件数
- 振込データを作成する件数
- 売掛金・買掛金を管理する件数
請求書や支払予定の件数は、月によって大きく変動することがあります。
年間を通じた平均件数だけでなく、最も件数が多い月についても伝えておくと、見積もりと実際の請求額の差を抑えやすくなります。
料金が決まるポイント④ 従業員数
給与計算や経費精算を依頼する場合は、対象となる従業員数も見積金額に影響します。
給与計算では、人数だけでなく、次のような条件によっても作業量が変わります。
- 雇用形態の種類
- 勤怠データの形式
- 手当や控除の種類
- 賞与計算の有無
- 給与体系の複雑さ
- 給与明細の発行方法
経費精算についても、従業員数や毎月の申請件数が多いほど確認作業が増えます。
給与計算を依頼する場合は、現在の従業員数だけでなく、採用予定や事業拡大による増員の見込みも共有しておくとよいでしょう。
料金が決まるポイント⑤ 会計ソフトと資料管理の状態
現在使用している会計ソフトや、経理資料の管理方法も見積もりに影響します。
銀行口座やクレジットカードとクラウド会計が連携されている会社では、データを取り込みやすく、入力作業を効率化できる場合があります。
一方、次のような状態では、資料整理や確認に追加の工数が必要になることがあります。
- 紙の領収書や請求書が中心
- 資料の保存場所が統一されていない
- 複数の会計ソフトを使用している
- Excelと会計ソフトの両方で管理している
- 過去の会計データが整理されていない
- 銀行口座やカードが連携されていない
見積もりを依頼するときは、使用中の会計ソフトだけでなく、資料をどのように集め、保存しているかも伝えましょう。
料金が決まるポイント⑥ 月次資料の内容と期限
月次資料をどこまで作成するかによっても、見積金額は変わります。
例えば、会計ソフトから試算表を出力するだけの場合と、部門別の損益や予算実績の比較まで行う場合では、必要な作業量が異なります。
確認しておきたいのは次の点です。
- 作成する月次資料の種類
- 部門別・事業別集計の有無
- 予算実績比較の有無
- 毎月の締め日
- 資料を受け取りたい日
- 報告や説明の頻度
短い日程で月次資料の作成を求める場合は、資料提出期限や確認体制を含めた運用が必要です。
月次資料をどこまで依頼したいのかを整理してから、見積もりを依頼しましょう。
料金が決まるポイント⑦ 導入時の整理や追加対応
経理代行を始める際に、初期設定やデータ移行、業務整理が必要になる場合は、その作業も見積金額に影響します。
例えば、次のような対応です。
- 会計ソフトの初期設定
- 過去データの移行
- 勘定科目の整理
- 銀行口座やカードとの連携
- 証憑の保存方法の整理
- 業務フローの確認
- マニュアルの作成
- 過去の未処理取引の整理
これらは毎月発生する業務ではないため、月額料金とは別に初期費用として提示される場合があります。
どこまでが通常の導入作業に含まれ、どこからが別対応になるのかを確認しましょう。
クラウド会計を導入する際にかかる費用については、以下の記事でも詳しく解説しています。
合わせて読みたい:クラウド会計の導入費用|料金相場と導入方法
見積もりを依頼する前に準備したい情報
正確な見積もりを受け取るためには、現在の経理業務について情報を整理しておく必要があります。
最低限、次の情報を準備しておきましょう。
- 現在行っている経理業務
- 外部へ依頼したい業務
- 毎月の仕訳件数
- 請求書の発行件数
- 支払予定の件数
- 従業員数
- 使用中の会計ソフト
- 資料の保存方法
- 月次資料の種類と希望納期
- 導入を希望する時期
複数社へ見積もりを依頼する場合は、同じ条件を伝えることも重要です。
会社ごとに異なる条件を伝えると、提示された金額を正確に比較できなくなります。
見積書で確認したい5つのポイント
見積書を受け取ったら、金額だけでなく次の内容を確認します。
1.業務範囲が具体的に書かれているか
「経理代行一式」などの曖昧な表記ではなく、記帳、請求書管理、支払準備など、具体的な業務が記載されているかを確認します。
2.見積もりの前提となる件数が書かれているか
仕訳件数、請求書件数、支払予定の件数、従業員数など、金額を算定した前提を確認します。
3.初期費用と月額料金が分かれているか
毎月発生する費用と、導入時だけ発生する費用を分けて確認します。
4.オプション業務が区別されているか
給与計算や年次業務など、必要に応じて追加する業務が月額料金に含まれているかを確認します。
5.会社側に残る作業が明確か
経理代行側が行う業務だけでなく、資料の提出、取引内容に関する質問への回答、請求内容の決定、支払いの最終承認など、会社側に残る作業も確認します。
月額料金が安くても、会社側に多くの作業が残る場合は、期待していたほど社内の負担が減らないことがあります。
見積もりを比較するときは、依頼できる業務だけでなく、導入後に社内で対応し続ける作業も含めて確認しましょう。
また、見積書には有効期限が設定されている場合があるため、あわせて確認することが大切です。
追加料金の条件は別に確認する
見積金額は、一定の業務範囲や件数を前提として算定されています。
その前提を超えた場合や、見積もりに含まれていない業務を追加した場合は、別途費用が発生する可能性があります。
ただし、追加料金の対象や計算方法はサービスによって異なります。
追加料金になりやすい項目と、確認すべき条件については、以下の記事をご覧ください。
合わせて読みたい:経理代行の見積もりで追加料金になる要注意項目5選
見積もりは金額だけでなく内容を比較する
同じ月額料金でも、次の条件が異なれば、実際の負担や総額も変わります。
- 対応する業務の範囲
- 基本料金に含まれる件数
- 月次資料の内容
- 初期設定の範囲
- オプション業務
- 会社側に残る資料提出・確認・承認作業
- 問い合わせへの対応方法
月額料金が安くても、会社側に資料整理や確認作業が多く残れば、期待していたほど負担が減らないことがあります。
見積金額だけではなく、導入後に社内の作業がどの程度減るのかという視点でも比較することが重要です。
同じ月額料金でも、次の条件が異なれば、実際の負担や総額も変わります。
- 対応する業務の範囲
- 基本料金に含まれる件数
- 月次資料の内容
- 初期設定の範囲
- オプション業務
- 会社側に残る資料提出・確認・承認作業
- 問い合わせへの対応方法
月額料金が安くても、会社側に資料整理や確認作業が多く残れば、期待していたほど負担が減らないことがあります。
見積金額だけではなく、導入後に社内の作業がどの程度減るのかという視点でも比較することが重要です。
合わせて読みたい:経理代行は高い?費用対効果を判断するポイントを解説
経理代行によって削減しやすい費用と、外注しても残る費用については、以下の記事で整理しています。
合わせて読みたい:経理代行で削減できるコスト・削減できないコスト
公認会計士の視点|見積金額より前提条件を確認する
見積書を比較する際は、金額の違いだけでなく、どのような前提で算定されているかを確認することが重要です。
例えば、月額料金が同じでも、仕訳件数の上限や月次資料の内容、会社側に残る作業が異なれば、サービスの実質的な内容は同じではありません。
特に確認したいのは、次の3点です。
- どの業務を依頼する前提になっているか
- どの程度の件数や業務量を想定しているか
- 会社側にどの作業が残るか
見積書に記載されていない前提がある場合は、契約前に書面で確認しておきましょう。
導入前後に起こりやすい失敗や確認事項については、以下の記事で解説しています。
合わせて読みたい:経理代行で失敗しないための完全ガイド|導入前後に知っておきたい注意点
よくある質問
Q. 経理代行の見積もりは無料ですか?
無料で見積もりを提示する会社もありますが、対応は会社によって異なります。
相談の範囲や、業務調査に費用がかかるかを事前に確認しましょう。
Q. 相見積もりを取っても問題ありませんか?
問題ありません。
比較しやすくするため、各社に同じ業務範囲と件数を伝えることが重要です。
Q. 見積金額が安い会社を選べばよいですか?
金額だけで判断するのは避けた方がよいでしょう。
必要な業務が含まれているか、会社側に残る作業がどの程度あるかまで確認する必要があります。
Q. 見積もりを依頼する際に最も重要な情報は何ですか?
依頼したい業務範囲と、毎月の業務量です。
仕訳件数、請求書件数、支払予定の件数、従業員数などをできるだけ正確に伝えましょう。
まとめ
経理代行の見積金額は、会社の規模だけではなく、依頼する業務範囲や毎月の処理件数、現在の資料管理の状態などによって決まります。
見積もりを依頼するときは、次の情報を具体的に伝えることが大切です。
- 依頼したい業務
- 仕訳や請求書などの件数
- 従業員数
- 使用している会計ソフト
- 月次資料の内容と希望期限
- 導入時に必要な整理や設定
見積書を比較するときは、金額だけを見るのではなく、算定の前提や含まれる業務内容まで確認しましょう。
現在の経理業務や依頼したい範囲を整理したうえで見積もりを確認したい方は、まるまる経理へお問い合わせください。
