「経理代行を利用すると、会社のコストは本当に削減できるのでしょうか。」
経理代行を検討する際、このような疑問を持つ企業は少なくありません。
経理代行を利用すると月額料金が発生するため、「外注すると、かえって支出が増えるのではないか」と感じる方もいるでしょう。
しかし、経理業務にかかっているコストは、担当者の給与だけではありません。
経理担当者を採用する費用、教育や引き継ぎにかかる負担、経営者や管理職が経理業務へ使っている時間など、見えにくいコストも発生しています。
一方で、経理代行を導入しても、会計ソフトの利用料や税理士顧問料など、継続して必要になる費用があります。また、経理代行の利用料や初期設定費用など、新たに発生する費用にも注意が必要です。
この記事では、経理代行に関連する費用を、次の3つに分けて整理します。
- 削減できる可能性があるコスト
- 導入後も残る費用
- 新たに発生する可能性がある費用
まずは、経理代行に関する費用の3つの分類を確認しましょう。
経理代行に関連する費用の全体像を整理すると、次のようになります。
| 分類 | 代表例 |
|---|---|
| 削減できる可能性がある | 採用費、教育費、経営者や管理職の作業時間 |
| 導入後も残る | 会計ソフト利用料、税理士報酬、振込手数料 |
| 新たに発生する | 月額利用料、初期設定費用、オプション料金 |
経理代行を検討する際は、削減できる費用だけでなく、導入後も残る費用と新たに発生する費用まで確認することが大切です。
経理代行の料金相場や料金が決まる仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
合わせて読みたい:経理代行の費用はいくら?料金相場と内訳を解説
経理代行で削減できる可能性があるコスト
経理代行を導入することで、社内で経理業務を行うために発生していたコストを見直せる場合があります。
ただし、すべての企業で同じ金額を削減できるわけではありません。現在の人員体制や業務量、委託する範囲によって変わります。
ここでは、代表的な費目を整理します。
人件費
経理担当者を新たに採用する場合、給与だけでなく、社会保険料、賞与、福利厚生費なども継続して発生します。
経理代行では、必要な業務だけを委託できるため、新規採用や増員を行わずに経理体制を整えられる場合があります。
例えば、記帳や請求書発行など、一部の業務だけを外部へ委託することで、経理業務量に合わせて費用を調整しやすくなります。
ただし、既存の経理担当者が引き続き社内業務を担当する場合、人件費がそのまま削減されるとは限りません。
経理代行によって削減できるのは、人件費そのものではなく、採用や増員を避けられた場合のコストと考える方が適切です。
採用コスト
経理担当者を採用する際には、次のような費用が発生します。
- 求人広告の掲載費
- 人材紹介会社への手数料
- 応募者への対応にかかる人件費
- 面接や選考にかかる時間
- 入社手続きにかかる事務負担
採用活動が長引けば、その分だけ費用と社内工数が増えていきます。
経理代行を利用することで、新たな経理担当者を採用せずに必要な業務を補える場合は、これらの採用コストを抑えられる可能性があります。
一方で、将来的に社内経理担当者を採用する方針であれば、採用コストが完全になくなるわけではありません。
教育・引き継ぎコスト
新しく経理担当者を採用しても、すぐにすべての業務を任せられるとは限りません。
入社後には、次のような教育や引き継ぎが必要です。
- 自社独自の経理ルール
- 会計ソフトの操作方法
- 請求書や支払いの処理手順
- 社内の承認フロー
- 税理士との連携方法
- 月次業務や年次業務の進め方
教育を受ける担当者だけでなく、教える側の社員にも時間がかかります。
また、担当者が退職するたびに引き継ぎが発生し、後任者が業務を習得するまでの負担も生じます。
経理代行によって業務手順を整理し、外部の担当体制へ移すことができれば、教育や引き継ぎにかかる社内負担を軽減できる場合があります。
経営者や管理職が経理業務に使う時間
中小企業では、経営者や管理職が経理業務を兼務しているケースがあります。
例えば、次のような作業です。
- 請求書の発行や確認
- 支払内容の確認
- 領収書や経費精算の整理
- 会計データの確認
- 売掛金や入金状況の確認
- 税理士とのやり取り
一つひとつの作業時間は短くても、毎月積み重なると大きな負担になります。
経理代行によって作業時間を減らせれば、経営者や管理職が営業、採用、経営判断など、本来担当すべき業務へ時間を使いやすくなります。
ただし、支払いの承認や経営上の判断など、社内に残す必要がある業務もあります。経理業務に使う時間がすべてなくなるわけではありません。
ミス対応や手戻りにかかるコスト
経理業務で入力ミスや処理漏れが発生すると、修正のために追加の時間が必要になります。
例えば、次のような対応です。
- 会計データの修正
- 証憑や取引内容の再確認
- 社内担当者への問い合わせ
- 税理士との確認
- 取引先への連絡
- 月次資料の再作成
標準化された業務フローやチェック体制を持つ経理代行会社へ委託することで、ミスや手戻りにかかる負担を抑えられる場合があります。
ただし、経理代行を利用すれば必ずミスがなくなるわけではありません。資料の提出漏れや社内からの情報共有不足があれば、確認や修正が発生することもあります。
経理代行を導入しても削減できない・継続して残る費用
経理代行を利用しても、経理に関するすべての費用が不要になるわけではありません。
導入後も継続して発生する可能性が高い費用を確認しておきましょう。
会計ソフトの利用料
freee会計やマネーフォワード クラウド会計などを利用している場合、経理代行を導入しても会計ソフトの利用料は原則として継続します。
経理代行会社が依頼企業の会計ソフトを使って業務を行う場合、ソフトの契約自体は引き続き必要です。
また、請求書発行システムや経費精算システム、給与計算システムなどを利用している場合も、それぞれの利用料が残ることがあります。
税理士顧問料
経理代行と税理士では、担当する業務が異なります。
経理代行は、記帳、請求書発行、支払管理、経費精算など、日常的な経理業務を担当します。
一方で、税務申告、税務相談、税務判断などは、税理士が担当する業務です。
そのため、経理代行を導入しても、税理士との顧問契約や決算申告にかかる費用が継続して必要になる場合があります。
経理代行の利用料と税理士費用は、分けて見積もることが大切です。
振込手数料などの実費
銀行振込手数料や郵送料、証明書の発行手数料など、経理業務を実行するための実費は、経理代行を利用しても基本的には発生します。
代表的なものは次のとおりです。
- 銀行振込手数料
- 給与振込手数料
- 納税時の手数料
- 郵送費
- 電子契約サービスの利用料
- 証明書や書類の取得費用
これらは経理代行会社へ支払う利用料とは別に考える必要があります。
社内で行う承認や判断にかかるコスト
経理代行へ業務を委託しても、経営判断や社内承認まで外部へ任せられるわけではありません。
例えば、次の業務は社内に残るのが一般的です。
- 支払いの最終承認
- 経費申請の承認
- 取引内容の判断
- 予算や資金繰りに関する意思決定
- 例外的な処理への対応方針の決定
経理代行は作業を代行できますが、会社としての意思決定は社内で行う必要があります。
導入後の業務分担を整理する際は、外部へ任せる業務と社内に残す業務を分けて考えましょう。
経理代行の導入によって増える可能性がある費用
経理代行を導入すると、これまで発生していなかった費用が新たに加わることがあります。
削減できるコストだけでなく、増える可能性がある費用も事前に確認しておくことが重要です。
経理代行の月額利用料
経理代行を利用すると、契約内容に応じた月額料金が発生します。
料金は、主に次の要素によって変わります。
- 委託する業務の範囲
- 月間の仕訳件数
- 請求書や支払いの件数
- 給与計算の対象人数
- 使用するシステム
- 必要なサポート内容
委託する業務が多く、業務量も多いほど、利用料金は高くなる傾向があります。
初期設定費用
経理代行の利用開始時に、初期費用が発生する場合があります。
初期費用に含まれる業務の例は次のとおりです。
- 現在の経理業務の確認
- 業務フローの整理
- 会計ソフトの設定
- 過去データの移行
- 勘定科目や補助科目の設定
- 請求書や支払い手順の整備
- 社内担当者との役割分担の整理
初期費用が月額料金に含まれている会社もあれば、別途請求される会社もあります。
見積もりを確認する際は、月額料金だけでなく、導入時に必要な費用も確認しましょう。
オプション料金
基本料金に含まれていない業務を依頼すると、オプション料金が発生する場合があります。
基本料金に含まれる業務やオプションの扱いは、経理代行会社によって異なります。
例えば、次のような業務です。
- 給与計算
- 年末調整
- 請求書発行
- 支払データの作成
- 過年度データの修正
- 月次資料の作成
- クラウド会計の導入支援
- 業務フローの改善支援
契約前に、どの業務が基本料金に含まれ、どの業務がオプションになるのかを確認してください。
業務量の上限を超えた場合の追加料金
経理代行の料金プランには、業務量の上限が設定されている場合があります。
例えば、次のような上限です。
- 月間仕訳件数
- 請求書発行件数
- 支払件数
- 経費精算件数
- 給与計算人数
- 問い合わせ回数
- 定例ミーティングの回数
契約上限を超えると、追加料金が発生することがあります。
現在の業務量だけでなく、繁忙期や事業拡大後の業務量も想定したうえで確認しましょう。
経理代行の料金が決まる要素については、以下の記事で詳しく解説しています。
合わせて読みたい:経理代行の見積もりを解説|料金が決まる7つのポイント
追加料金が発生しやすい項目については、こちらもご覧ください。
合わせて読みたい:経理代行の見積もりで追加料金になる要注意項目5選
削減できるコスト・残る費用・増える費用の比較
経理代行に関連する費用を整理すると、次のようになります。
| 分類 | 費用項目 | 考え方 |
|---|---|---|
| 削減できる可能性がある | 人件費 | 新規採用や増員を避けられる場合に見直せる |
| 削減できる可能性がある | 採用コスト | 求人広告、紹介手数料、面接工数などを抑えられる場合がある |
| 削減できる可能性がある | 教育・引き継ぎコスト | 新任担当者への教育や退職時の引き継ぎ負担を軽減できる |
| 削減できる可能性がある | 経営者・管理職の時間コスト | 経理作業へ使っていた時間を減らせる場合がある |
| 削減できる可能性がある | ミス対応・手戻りコスト | 業務標準化やチェック体制により修正作業を減らせる場合がある |
| 導入後も残る | 会計ソフト利用料 | 経理代行でも会計ソフトを継続して使用することが多い |
| 導入後も残る | 税理士顧問料 | 税務申告や税務相談には別途税理士が必要になる場合がある |
| 導入後も残る | 振込手数料などの実費 | 業務を実行するための実費は基本的に変わらない |
| 導入後も残る | 社内承認・判断にかかるコスト | 支払承認や経営判断は社内に残る |
| 増える可能性がある | 経理代行の月額利用料 | 委託範囲や業務量に応じて発生する |
| 増える可能性がある | 初期設定費用 | システム設定やデータ移行などで発生する場合がある |
| 増える可能性がある | オプション料金 | 基本契約に含まれない業務を依頼した場合に発生する |
| 増える可能性がある | 超過料金 | 件数や業務量が契約上限を超えた場合に発生する |
経理代行は、すべての費用を削減するサービスではありません。
削減できる可能性があるコスト、導入後も残る費用、新たに発生する費用を分けて整理することで、導入後のコスト構造を把握しやすくなります。
導入前に現在のコストを整理する
経理代行を導入した場合の費用を正しく比較するには、現在の経理業務にどれだけのコストがかかっているかを把握する必要があります。
まずは、次の項目を整理しましょう。
現在支払っている費用
- 経理担当者の人件費
- 採用費
- 会計ソフト利用料
- 税理士顧問料
- 振込手数料などの実費
- 外部サービスの利用料
社内で発生している時間
- 経営者が経理に使っている時間
- 管理職や他部署が経理を補助している時間
- 教育や引き継ぎに使っている時間
- ミスの修正や確認に使っている時間
経理代行の見積書で確認する費用
- 月額基本料金
- 初期設定費用
- 基本料金に含まれる業務
- オプション料金
- 業務量の上限
- 超過料金
- 契約期間
- 解約条件
現在の費用と導入後の費用を同じ項目で並べることで、どの費用が減り、どの費用が残り、何が新たに発生するのかを確認しやすくなります。
まとめ|3つの分類に分けてコストを確認する
経理代行によって削減できる可能性があるコストには、人件費、採用費、教育・引き継ぎ費、経営者や管理職が経理業務に使っている時間などがあります。
一方で、会計ソフト利用料、税理士顧問料、振込手数料などは、経理代行の導入後も継続して発生する可能性があります。
また、次の費用は新たに発生する場合があります。
- 経理代行の月額利用料
- 初期設定費用
- オプション料金
- 契約上限を超えた場合の追加料金
導入前には、費用を次の3つに分けて整理しましょう。
- 削減できる可能性があるコスト
- 導入後も残る費用
- 新たに発生する可能性がある費用
この記事では費目の分類を中心に解説しました。
経理代行の費用が高いかどうかを判断する基本的な考え方については、以下の記事をご覧ください。
合わせて読みたい:経理代行は高い?費用対効果を判断するポイントを解説
具体的な導入効果や、経理代行によって会社にどのような変化が期待できるのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
合わせて読みたい:経理代行で会社はどう変わる?導入効果を徹底解説
よくある質問
Q1.経理代行を利用すると必ずコストは下がりますか?
必ず下がるとは限りません。
削減できる費用がある一方で、経理代行の月額料金や初期設定費用などが新たに発生します。
現在の経理コストと、導入後に発生する費用を項目ごとに比較する必要があります。
Q2.経理代行を導入しても残る費用はありますか?
あります。
会計ソフト利用料、税理士顧問料、銀行振込手数料などは、導入後も継続して必要になる場合があります。
また、支払いの最終承認や経営判断など、社内で対応する業務も残ります。
Q3.追加料金が発生するのはどのような場合ですか?
仕訳件数や支払件数が契約上限を超えた場合や、基本契約に含まれていない業務を依頼した場合に発生することがあります。
給与計算、年末調整、過年度修正、急ぎの処理などがオプションになるケースもあります。
Q4.一部の業務だけ依頼できますか?
経理代行会社によっては、一部の業務だけを依頼できます。
例えば、記帳、請求書発行、支払管理など、社内の負担が大きい業務に絞って委託する方法があります。
対応範囲や最低契約料金は会社によって異なるため、見積もり時に確認してください。
Q5.導入前に何を整理すればよいですか?
現在支払っている費用と、社内で経理業務に使っている時間を整理します。
そのうえで、経理代行の月額料金、初期費用、基本料金に含まれる業務、追加料金の条件と比較しましょう。
経理業務のコストを見直したい方へ
経理代行によって見直せるコストは、会社の規模や業務量、現在の人員体制によって異なります。
まるまる経理では、現在の経理業務や費用を確認したうえで、社内に残す業務と外部へ委託する業務を整理し、会社の状況に合った経理体制をご提案しています。
経理業務にかかっている費用や社内負担を整理したい方は、お気軽にご相談ください。
