はじめに
経理DXという言葉はよく聞くようになりましたが、実際には「思ったほど進まない」と感じている会社も少なくありません。
新しいツールを入れたのに現場が変わらない、むしろ手間が増えたように見える、そんな声もよくあります。
その背景には、ツールの問題だけではなく、日々の業務の進め方にある“共通点”が隠れていることがあります。ここでは、経理DXが進みにくい会社にありがちなポイントを、できるだけ具体的に見ていきます。
受け取り方がそろっていない
経理DXが進まない会社では、まず入口の時点でつまずいていることがあります。
請求書はメール、証憑は紙、資料はチャットというように、部署ごとに受け取り方がバラバラだと、経理に集めるだけでもひと苦労です。本来は、経理で扱う書類やデータを、できるだけ同じ流れで集められるのが理想です。
ところが入口がそろっていないと、データ化する前に確認や整理の作業が発生してしまいます。実際には、経理担当者が「請求書はどこに届いているのか」「領収書は提出されたのか」を確認するだけで多くの時間を使っているケースもあります。
月次決算が遅れる原因は入力作業だと思われがちですが、実際には資料回収に時間を取られている会社も少なくありません。結果として、システムを入れても「集める手間」が残り、DXの効果を実感しにくくなります。
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例外対応があいまい
もうひとつよくあるのが、例外処理のルールが決まっていないケースです。
通常の請求書は問題なく処理できても、取引先ごとに書式が違う、添付が不足している、金額の修正が必要、といった場面では、毎回その場で判断することになります。
こうした小さな判断が積み重なると、担当者ごとに対応が変わりやすくなります。その結果、経理側で確認し直す回数が増えたり、承認者に判断が集中したりして、かえって流れが止まりやすくなります。
例えば、「証憑が不足している場合は差し戻す」「一定金額以上は責任者へ確認する」といったルールが決まっていないと、同じような問題に何度も時間を取られてしまいます。
DXを進めるには、通常業務だけでなく、例外が出たときの動き方まで決めておくことが大切です。
承認の流れが長い
経理DXが進みにくい会社では、承認の流れが長く、途中で止まりやすいこともあります。
入力自体はシステムで早くできても、上長確認、部門長確認、経理確認といった段階が多いと、どこかで待ち時間が発生します。
特に、承認期限が決まっていなかったり、代理承認のルールがなかったりすると、担当者が不在になるたびに処理が止まります。
経理の仕事は「作る時間」より「待つ時間」に影響されやすいため、承認フローが長いままだと、思ったほど楽になりません。
便利なシステムを入れても、最後の承認で止まってしまえば、現場の負担はあまり変わらないままです。
以前のやり方が残っている
せっかく新しい仕組みを入れても、以前のやり方が残っている会社は少なくありません。
たとえば、システムに登録したあとでExcelにも転記している、メールで送った内容を紙でも確認している、といったケースです。
この状態では、便利になった部分よりも、二重管理の手間が目立ってしまいます。
「システムを入れたのに、なぜか前より忙しい」と感じるのは、こうした運用が残っているためです。
DXを進めるには、今までのやり方を少し便利にするだけでなく、どの作業をやめるかまで考える必要があります。
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担当者に頼りすぎている
経理は細かな判断が多い仕事なので、どうしても特定の担当者に知識が集まりやすくなります。ただ、その人だけが運用を理解している状態だと、設定変更や例外処理、トラブル対応がすべてその人任せになってしまいます。
そうなると、休みが取れない、引き継ぎが難しい、ルールが定着しないといった問題につながります。例えば、担当者が退職した途端に請求書処理や支払業務が止まり、過去の処理内容が誰にも分からなくなるケースもあります。
DXの本来の目的は、業務を特定の人に依存させないことでもあります。誰が見ても同じように処理できる状態を作ることで、経理業務は安定しやすくなります。人に頼る仕組みのままでは、せっかくのデジタル化も広がりにくくなります。
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まとめ
経理DXが進まない会社には、
- 受け取り方の不統一
- 例外対応のあいまいさ
- 長い承認フロー
- 以前のやり方の温存
- 担当者依存の強さ
といった共通点があります。
どれも大きな失敗というより、日々の業務の中にある小さなズレが積み重なって起きるものです。そして、多くの場合、問題はツールそのものではありません。経理DXが進まない原因は、システム不足ではなく、業務ルールや運用設計が整っていないことにあります。
だからこそ、DXを進めるときはツール選びだけを考えるのではなく、まず業務の流れそのものを見直すことが大切です。入口をそろえ、例外を決め、承認を整え、誰でも回せる形にしていくことが、経理DXを前に進める近道になります。
