経理代行を検討する際は、見積書に記載された月額料金だけでなく、どのような場合に追加料金が発生するかを確認する必要があります。
基本料金が安く見えても、毎月の件数が上限を超えたり、契約範囲に含まれていない業務を依頼したりすると、実際の支払額が想定より高くなることがあります。
追加料金が設定されていること自体が問題なのではありません。
重要なのは、追加料金が発生する条件と金額が、依頼前に明確になっていることです。
この記事では、経理代行で追加料金が発生しやすい項目を5つに分けて解説します。
経理代行の料金相場や基本的な料金体系については、以下の記事をご覧ください。
合わせて読みたい:経理代行の費用はいくら?料金相場と内訳を解説
追加料金が発生しやすい項目
代表的な追加料金の条件を整理すると、次のようになります。
| 要注意項目 | 追加料金が発生しやすい条件 |
|---|---|
| 仕訳件数 | 基本料金に含まれる件数を超えた場合 |
| 請求書・支払予定の件数 | 発行・処理件数が上限を超えた場合 |
| 給与計算・年次業務 | 基本料金に含まれていない業務を追加した場合 |
| イレギュラー・過年度対応 | 通常の月次業務以外の作業を依頼した場合 |
| 初期設定・業務改善 | データ移行やシステム設定が別料金の場合 |
見積書では、項目名だけでなく、何件から追加料金になるのか、どの単位で計算されるのかを確認することが重要です。
料金を決める基本的な要因については、以下の記事で解説しています。
合わせて読みたい:経理代行の見積もりを解説|料金が決まる7つのポイント
なぜ追加料金が発生するのか
以下は追加料金の仕組みを説明するための例であり、一般的な料金相場や特定のサービスの契約条件を示すものではありません。
例えば、基本料金が次のような条件で設定されている場合があります。
- 月300仕訳まで
- 請求書発行30件まで
- 支払予定50件まで
- 従業員10人分の給与計算まで
これらの条件を超えると、経理代行会社に必要な作業時間や確認作業が増えます。
そのため、超過した件数や追加で依頼した業務に対して、別料金が設定されることがあります。
大切なのは、追加料金の発生だけを避けることではありません。自社の実際の業務量に合った料金体系か、追加料金が発生する条件が明確になっているかを確認することです。
要注意① 仕訳件数の超過
追加料金が発生しやすい代表的な項目が、仕訳件数の超過です。
例えば、基本料金に含まれる仕訳数が月300件までで、301件以降は追加料金になる料金体系があります。
確認しておきたいのは次の点です。
- 基本料金に含まれる仕訳件数
- 超過分の単価
- 何件単位で追加料金が計算されるか
- 仕訳件数の数え方
- 月ごとに精算するか、年間平均で判断するか
特に注意したいのが、仕訳件数の数え方です。
一つの取引が複数の仕訳に分かれることもあるため、請求書や領収書の枚数と仕訳件数が一致するとは限りません。
通常月は基本料金内でも、決算前や繁忙期だけ上限を超える可能性もあります。
直近数か月の実績だけでなく、年間で最も件数が多い月も確認しましょう。
要注意② 請求書・支払予定の件数増加
請求書の発行や支払準備を依頼する場合は、処理件数に上限が設定されていることがあります。
例えば、次のような条件です。
- 請求書発行30件まで
- 入金確認50件まで
- 支払予定50件まで
- 振込データ作成50件まで
上限を超えると、1件ごと、または一定件数ごとに追加料金が発生する場合があります。
見積書では、次の内容を確認しましょう。
- 発行件数と送付件数のどちらで数えるか
- 再発行や修正も件数に含まれるか
- 支払予定と振込先のどちらを数えるか
- 繁忙期だけ件数が増えた場合の取り扱い
- 件数超過時の単価
事業の成長や取引先の増加によって、請求書や支払予定の件数は変動します。
現在の件数だけでなく、今後の増加も見込んで確認することが重要です。
要注意③ 給与計算・年次業務
給与計算や年末調整などは、通常の記帳業務とは別の料金体系になっている場合があります。
基本料金とは別に設定されることがある業務には、次のようなものがあります。
- 毎月の給与計算
- 賞与計算
- 給与明細の発行
- 年末調整
- 法定調書の作成
- 給与支払報告書の作成
年末調整や法定調書などの年次業務は、経理代行会社の資格体制や契約内容によって対応範囲が異なります。
税理士等との別契約が必要になる場合もあるため、追加料金の有無だけでなく、誰が対応する業務なのかも事前に確認しましょう。
給与計算の料金は、対象となる従業員数に応じて設定されることがあります。
契約時より従業員数が増えた場合は、毎月の料金が変わる可能性があるため、次の点を確認しておくことが大切です。
- 基本料金に含まれる人数
- 従業員が増えた場合の追加料金
- 賞与計算の料金
- 年末調整など年次業務の料金
- 入退社があった月の取り扱い
また、給与計算に対応している場合でも、社会保険や労働保険に関する手続きまで同じ契約に含まれているとは限りません。
給与計算、年次業務、社会保険などの手続きについて、それぞれ誰がどこまで対応するのかを契約前に確認しましょう。
要注意④ イレギュラー対応・過年度修正
毎月決められた手順で行う通常業務とは異なる作業は、追加料金になる場合があります。
例えば、次のような対応です。
- 過年度の仕訳修正
- 未処理取引の整理
- 大量の修正仕訳
- 急ぎの支払準備
- 紛失した会計データの復旧
- 通常と異なる形式の資料整理
- 過去の売掛金・買掛金残高の確認
イレギュラー対応は、作業量を事前に予測しにくいため、時間単価や個別見積もりになることもあります。
見積書や料金表では、次の点を確認しましょう。
- 通常業務に含まれない作業
- 急ぎ対応の追加料金
- 時間単価
- 最低料金
- 作業開始前に再見積もりが行われるか
追加作業を依頼する前に、金額と作業範囲を確認することが大切です。
要注意⑤ 初期設定・データ移行・業務改善
経理代行の月額料金とは別に、導入時の作業へ費用がかかる場合があります。
代表的なものは次のとおりです。
- クラウド会計の初期設定
- 過去データの移行
- 銀行口座やカードとの連携
- 勘定科目の整理
- 証憑保存方法の設定
- 業務フローの見直し
- マニュアルの作成
これらは導入時に一度だけ発生する費用として提示される場合もあれば、月額料金に含まれる場合もあります。
月額料金だけを比較すると、初年度の総額を正しく把握できません。
次の費用を分けて確認しましょう。
- 初期費用
- 月額料金
- システム利用料
- データ移行費用
- 業務改善支援の費用
クラウド会計の導入に必要な費用については、以下の記事でも解説しています。
合わせて読みたい:クラウド会計の導入費用|料金相場と導入方法
追加料金を確認するときの5つのポイント
追加料金について確認するときは、次の5点を見積書や料金表で確認します。
1.基本料金に含まれる上限
仕訳数、請求書数、支払予定数、従業員数などの上限を確認します。
2.追加料金が始まる基準
何件を超えた時点から追加料金が発生するかを確認します。
3.追加料金の計算単位
1件単位、10件単位、100件単位など、どの単位で計算されるかを確認します。
4.月額料金以外の費用
初期設定、データ移行、年次業務など、毎月の料金に含まれない費用を確認します。
5.業務量が変わった場合の見直し方法
一時的な件数超過として精算するのか、月額プラン自体を変更するのかを確認します。
追加料金の条件が「状況に応じて」「個別に判断」としか書かれていない場合は、具体的な基準を質問しましょう。
追加料金について起こりやすい認識違い
認識違い① 毎月の仕訳件数が上限を超えた
契約時は基本料金の範囲内だったものの、取引量の増加によって仕訳件数が上限を超え、毎月追加料金が発生するようになったケースです。
一時的な増加ではなく、継続して上限を超える場合は、現在の業務量に合った料金プランへ変更した方が、費用を把握しやすくなることがあります。
認識違い② 給与計算が基本料金に含まれていなかった
経理代行を契約すれば給与計算も含まれると考えていたものの、実際には別料金の業務だったケースです。
「経理代行」というサービス名称だけで判断せず、給与計算が契約範囲に含まれているか、別料金の場合はいくらかかるかを確認しましょう。
認識違い③ 初期設定費用を含めずに比較していた
月額料金だけを比較して契約した後に、クラウド会計の初期設定やデータ移行に別途費用が必要だと分かったケースです。
経理代行の費用を比較する際は、月額料金だけでなく、初期設定費用やデータ移行費用などを含めた初年度の総額を確認することが大切です。
追加料金がある会社は避けるべきか
追加料金が設定されているという理由だけで、その会社を避ける必要はありません。
会社ごとに業務量や依頼範囲が異なるため、基本料金と追加料金を組み合わせる料金体系には合理性があります。
確認すべきなのは、次の点です。
- 追加料金の対象が明確か
- 発生条件が具体的か
- 単価が事前に示されているか
- 追加作業の前に説明があるか
- 業務量が増えた場合にプランを見直せるか
料金体系が明確で、自社の業務量に合っていれば、追加料金が設定されていても問題とは限りません。
経理代行の料金を費用対効果で判断する方法については、以下の記事をご覧ください。
合わせて読みたい:経理代行は高い?費用対効果を判断するポイントを解説
公認会計士の視点|追加料金の有無より発生条件を確認する
追加料金については、「発生するかどうか」だけでなく、「どの条件で発生するか」を確認することが重要です。
追加料金がないように見えても、最初から高い件数を想定した料金が設定されていることがあります。
反対に、基本料金を抑え、実際の件数に応じて追加料金を計算する方が、自社にとって合理的な場合もあります。
比較するときは、次の条件をそろえましょう。
- 同じ業務範囲
- 同じ仕訳件数
- 同じ請求書・支払予定件数
- 同じ従業員数
- 同じ初期設定内容
条件をそろえたうえで、年間の総額を比較することが大切です。
導入前後に起こりやすい料金トラブルを含め、経理代行で失敗しないための確認事項は以下の記事で解説しています。
合わせて読みたい:経理代行で失敗しないための完全ガイド|導入前後に知っておきたい注意点
よくある質問
Q1. 追加料金が発生しない経理代行会社はありますか?
一定の業務範囲や件数まで定額で、追加料金が発生しないサービスもあります。
ただし、「追加料金なし」と記載されていても、対応する業務や件数に上限が設けられている場合があります。
基本料金に含まれる業務、仕訳や請求書などの件数上限、契約範囲を超えた場合の料金や対応方法まで確認しましょう。
Q2. 見積書だけで追加料金の条件を確認できますか?
基本的な条件が見積書や料金表に記載されている場合があります。
記載が曖昧な場合は、件数超過時の単価やオプション料金を依頼前に確認しましょう。
Q3. 相見積もりを取るときのポイントは何ですか?
各社へ同じ業務範囲と件数を伝えることです。
条件が異なると、提示された金額を正確に比較できません。
Q4. 契約前に最も確認すべき追加料金は何ですか?
自社で変動しやすい項目を優先して確認します。
取引が増えている会社では仕訳や請求書の件数、採用が増えている会社では給与計算の人数などを確認しましょう。
まとめ
経理代行では、次のような条件で追加料金が発生することがあります。
- 仕訳件数が上限を超えた
- 請求書や支払予定の件数が増えた
- 給与計算や年次業務を追加した
- 通常業務以外の修正を依頼した
- 初期設定やデータ移行が必要になった
追加料金が設定されていること自体ではなく、何に対して、どの条件で、いくら発生するのかが明確になっているかを確認することが重要です。
見積書や料金表を確認するときは、月額料金だけでなく、初期費用や件数超過時の料金を含めた総額を確認しましょう。
現在の業務量に合った料金体系を確認したい方は、まるまる経理へお問い合わせください。
