鷲見明(公認会計士) この記事の監修者:鷲見明(公認会計士)

失敗しない経理代行の選び方7つのポイント

経理代行の選び方や料金、月次決算の確認ポイントを失敗事例とともに解説する記事の表示画像
目次

はじめに

経理担当者の採用難や退職リスクを背景に、経理代行サービスを導入する企業が増えています。しかし、経理代行であればどこでも同じというわけではありません。

実際には、記帳しか対応してくれなかった。月次資料が翌月末まで出てこない。想定外の追加料金が発生した。結局社内の負担が減らなかった。といった失敗も少なくありません。

経理代行は会社の数字を扱う重要なパートナーです。料金だけで選ぶと、かえって業務負担が増えたり、経営判断に必要な月次資料が遅れたりすることもあります。

そこで今回は、経理代行選びで失敗しないために確認したい7つのポイントと、よくある失敗事例を解説します。

合わせて読みたい:経理代行の費用はいくら?料金相場と内訳を解説

失敗事例① 安さだけで選んでしまった

月額料金の安さだけで契約した結果、請求書発行は対象外、支払業務は対象外、月次資料の作成は別料金となり、想定していたほど業務負担が減らなかったケースがあります。

経理代行は会社によって対応範囲が大きく異なります。料金が安く見えても、実際には記帳業務しか含まれておらず、請求書発行や支払業務、月次資料の作成などがオプションになっていることも少なくありません。

その結果、「経理業務をまとめて任せられると思っていたのに、結局社内で対応する作業が多く残った」という状況になることがあります。

経理代行を選ぶ際は、価格だけで比較するのではなく、どこまで対応してもらえるのかを事前に確認することが重要です。

合わせて読みたい:経理代行を選ぶ前に確認すべき7項目

失敗事例② 月次決算が遅くなった

経理代行を利用する目的の一つは、経営数字を早く把握することです。

しかし、代行会社によっては月次資料の提出が想像以上に遅い場合があります。例えば、月次資料が翌月25日以降、資料提出が少し遅れるとさらに後ろ倒し、修正依頼が発生すると月次確定まで時間がかかる、といったケースです。

こうした状況は、単に作業スピードの問題だけではありません。証憑回収のルールが整っていない、作業が特定の担当者に集中している、クラウド会計を十分に活用できていないなど、運用面に原因があることも少なくありません。

数字が見えなければ、利益状況や資金繰りの判断も遅れてしまいます。特に中小企業では、月次資料が経営判断の重要な材料になるため、スピードは非常に重要です。

合わせて読みたい:経理代行の導入後に決めるべき5つのルール

失敗事例③ クラウド会計に対応していなかった

紙やExcel中心の運用だったため、データ共有に手間がかかる、証憑提出が煩雑、属人化が解消されないなど、期待していた効率化が実現できなかったケースもあります。

特に紙やExcelを中心とした運用では、資料の受け渡しや入力作業が人に依存しやすく、担当者が不在になると業務が滞りやすくなります。また、銀行口座やクレジットカードとの自動連携も活用しにくいため、手入力や確認作業が多く残ってしまいます。

その結果、経理代行を導入しても月次決算の早期化や業務負担の軽減につながらず、「思ったほど楽にならなかった」という状況になりがちです。

経理DXを進めたいなら、クラウド対応の有無は必ず確認しておきたいポイントです。

合わせて読みたい:freee導入後も経理が楽にならない5つの原因と対策

経理代行選びで失敗しないために確認したい7つのポイント

ここまで見てきたように、経理代行の失敗は「サービスそのものが悪い」というよりも、契約前の確認不足によって起こるケースが少なくありません。

特に、対応範囲や月次決算のスピード、料金体系などは会社によって大きく異なります。そのため、価格だけで比較するのではなく、自社が求める業務を任せられるかという視点で確認することが重要です。

ここからは、経理代行を選ぶ際に事前に確認しておきたい7つのポイントを解説します。

1. 「記帳だけ」なのか、どこまで対応してくれるのか

経理代行を検討する際に最初に確認したいのが対応範囲です。

一口に経理代行といっても、サービス内容は会社によって大きく異なります。例えば、記帳入力のみ、請求書発行まで対応、支払業務まで対応、月次決算資料の作成まで対応、業務改善や経理DX支援まで対応、などです。

実際によくある失敗が、「経理代行に頼めば全部やってくれると思っていた」というケースです。契約後に「その業務は対象外です」と言われると、結局社内で対応しなければなりません。

依頼したい業務を整理し、どこまで対応してもらえるのかを事前に確認しましょう。

合わせて読みたい:経理代行の費用はいくら?料金相場と内訳を解説

2. 月次決算はいつ出てくるのか

経理代行を利用する目的の一つは、経営数字を早く把握することです。

ところが、代行会社によっては月次資料の提出が非常に遅い場合があります。例えば、月次資料が翌月25日以降、2か月遅れでしか数字が見えない、資料提出が遅れるとさらに後ろ倒し、といったケースもあります。

確認したいのは、月次締めのタイミング、月次資料の提出時期、遅延時の対応方法です。

特に、資金繰り管理や融資対応、事業計画の進捗管理を行う企業では、月次資料のスピードが経営判断に直結します。

3. ミスを防ぐチェック体制があるか

経理業務では入力ミスや処理漏れを完全になくすことはできません。

だからこそ重要なのがチェック体制です。例えば、入力担当と確認担当が分かれている、ダブルチェックが実施されている、管理者レビューがある、といった体制が整っている会社は安心感があります。

一方で、一人だけで入力から確認まで行う体制の場合、ミスが見逃されるリスクがあります。

経理代行は安さだけでなく、品質管理の仕組みも確認することが重要です。

4. レスポンスは早いか

経理代行の満足度を大きく左右するのがコミュニケーションです。

実務では、請求書の確認、支払内容の確認、取引内容の問い合わせなど、日常的なやり取りが発生します。

その際に返信が遅いと、業務全体が止まってしまいます。

実際に不満として多いのが、「質問したのに数日返事が来ない」というケースです。契約前には、チャット対応の有無、問い合わせへの返信目安、担当者体制を確認しておきましょう。

5. クラウド会計に対応しているか

現在の経理業務では、クラウド会計への対応は重要なポイントです。

クラウド会計を活用すると、銀行データの自動取得、クレジットカード連携、リアルタイムでの情報共有などが可能になります。

一方で、紙やExcel中心の運用では、月次が遅れる、データ共有が難しい、属人化しやすいという問題が発生しやすくなります。

特に今後バックオフィスの効率化を進めたい企業は、クラウド活用の経験が豊富な会社を選ぶことが重要です。

合わせて読みたい:クラウド導入すると、なぜ経理がグッと楽になるのか?

6. 料金体系は明確か

経理代行は料金が分かりにくいサービスの一つです。

月額料金が安く見えても、実際には追加料金が多く発生するケースがあります。例えば、仕訳数の増加、支払件数の増加、請求書発行件数の増加、月次資料作成、年末調整、給与計算などです。

契約前には、「どこから追加料金になるのか」を必ず確認しておきましょう。

料金が不透明な会社は、後から想定外のコストが発生する可能性があります。

7. 業務改善まで支援してくれるか

経理代行を選ぶうえで、最も差が出るポイントがここです。

単純な記帳代行だけであれば、多くの会社が対応できます。しかし、本当に経理が楽になるのは、業務そのものが改善されたときです。

例えば、証憑提出ルールの整備、承認フローの見直し、クラウド会計導入支援、経理業務の標準化、属人化解消まで対応できる会社であれば、単なる外注ではなく経理体制そのものを強化できます。

実際に経理担当者の退職や採用難で困っている企業ほど、「入力作業を任せること」よりも「仕組みを整えること」の効果が大きいケースが少なくありません。

経理担当者を採用するか、経理代行を活用するか

経理体制を見直す際に、多くの経営者が悩むのが「採用」と「外注」のどちらを選ぶべきかという点です。

比較項目経理担当者を採用経理代行
採用コスト発生する不要
教育コスト発生する不要
退職リスクあるほぼない
業務量の変動対応難しい比較的柔軟
導入スピード数か月かかる場合もある比較的早い

もちろん、すべての会社に経理代行が向いているわけではありません。ただし、採用が難しい、経理担当者が1人しかいない、属人化が進んでいるという会社では、経理代行が有効な選択肢になることがあります。

FAQ

Q1. 経理代行の費用相場はいくらですか?
依頼範囲によって異なりますが、一般的には月額数万円から数十万円程度です。記帳のみか、請求書発行や支払業務まで依頼するかによって大きく変わります。

Q2. 小規模企業でも利用できますか?
利用できます。特に経理専任担当者を置きにくい企業では活用しやすいサービスです。

Q3. 税務申告まで依頼できますか?
経理代行会社によって異なります。税理士と連携して対応するケースもあります。

Q4. 経理代行を導入すると本当に経理担当者は不要になりますか?
会社の状況によります。多くの場合、最終承認や経営判断は社内で行うため、完全に社内業務がなくなるわけではありません。

まとめ

経理代行を選ぶ際は、単純な料金比較だけで判断するべきではありません。

特に確認したいのは次の7つです。対応範囲。月次決算のスピード。チェック体制。レスポンスの速さ。クラウド会計対応。料金体系の明確さ。業務改善支援の有無。

経理代行は、単なる事務作業の外注先ではなく、会社の数字を支える重要なパートナーです。だからこそ、「安い会社」ではなく、「経理体制を改善できる会社」を選ぶことが重要です。

経理業務の負担や属人化でお悩みなら、まるまる経理へお気軽にご相談ください。経理代行会社を比較検討している段階でも構いません。現在の経理体制をヒアリングしたうえで、経理代行が向いているか。採用の方がよいか。どこまで外注すべきか。を含めてご相談いただけます。

記帳代行だけでなく、経理フローの整備やクラウド化、バックオフィスの効率化までサポートいたします。

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