クレジットカードの利用明細と帳簿を確認していると、「明細には載っているのに帳簿にない」「帳簿上の未払残高とカード会社の請求額が合わない」といったことがあります。
クレジットカードは、利用日・締め日・請求確定日・銀行口座からの引落日がそれぞれ異なるため、比較する期間をそろえないと、正しく処理していても数字が合わないように見えることがあります。
また、会計ソフトへカード明細を連携している場合は、手入力との二重登録や、取消・返金の反映時期にも注意が必要です。
この記事では、クレジットカード特有の仕組みに絞って、利用明細と帳簿が合わないときに確認したいポイントを解説します。
クレジットカードは「請求額」と「帳簿残高」が同じとは限らない
最初に押さえておきたいのは、カード会社から届く請求額と、帳簿上のクレジットカードに関する未払残高は、常に同じ金額になるとは限らないことです。
クレジットカードには、主に次の日付があります。
- 商品やサービスを購入した利用日
- カード会社の締め日
- 請求金額が確定する日
- 銀行口座から代金が引き落とされる日
例えば、毎月20日締めのカードを使用している会社が、月末時点までのカード利用を帳簿へ記録しているとします。
21日から月末までに利用した分は帳簿には含まれていても、20日締めの請求にはまだ含まれていません。
この状態で「月末の帳簿残高」と「当月のカード請求額」を比べれば、数字が合わなくても不思議ではありません。
そのため、差額を探す前に「同じ期間の数字を比較しているか」を確認します。
まずは4つの数字を分けて確認する
クレジットカードの数字が合わないときは、すべてを一度に確認するのではなく、次の4つを分けると原因を探しやすくなります。
| 確認するもの | 確認したい内容 |
|---|---|
| カード利用明細 | いつ・どこで・いくら利用したか |
| カード会社の請求額 | 今回の支払対象となった金額 |
| 帳簿 | カード利用が正しく記録されているか |
| 銀行の引落記録 | カード会社へ実際にいくら支払ったか |
ここでポイントになるのは、「利用明細」と「請求額」も同じものではないことです。
締め日をまたいでいる利用分や、取消・返金などがあると、利用した金額の合計と今回の請求額が一致しない場合があります。
最初から帳簿をすべて見直すのではなく、まずカード会社側で「どの利用分が今回の請求に含まれているのか」を整理しましょう。
クレジットカード明細と帳簿が合わない主な原因
クレジットカードでは、銀行口座や現金とは異なる原因で差額が生じることがあります。
締め日をまたいだ利用分を比較している
特に多いのが、カード会社の締め日と会社の月末日が異なるケースです。
例えば20日締めの場合、21日から31日までのカード利用は翌月請求になることがあります。
帳簿では月末までの利用を記録している一方、請求額は20日までという状態であれば、比較対象そのものが異なります。
この場合、差額が出ていても必ずしも記帳ミスとは限りません。
利用明細が帳簿へ登録されていない
カード会社の利用明細には載っているものの、帳簿へ登録されていない取引があるケースです。
例えば、
- カード明細を確認しただけで会計ソフトへ登録していない
- 証憑が届いておらず処理が止まっている
- 一部のカードだけ連携されていない
といった状況が考えられます。
「明細にはあるが帳簿にはない取引」を抜き出すと、登録漏れを見つけやすくなります。
手入力とカード明細の連携で二重登録している
カード明細を会計ソフトへ自動連携している場合は、同じ取引を別の方法でも入力していないか確認します。
例えば、領収書をもとに手入力したあと、カードから連携された同じ取引も登録すると、1回の購入が2回計上されます。
日付だけではなく、金額と利用先もあわせて確認しましょう。
取消・返品・返金の反映時期がずれている
カード決済を取り消したり商品を返品したりすると、元の利用と返金が異なる月の明細へ表示されることがあります。
そのため、購入時の取引だけを見ても差額の理由が分からないケースがあります。
取消や返金がある場合は、元の利用明細とその後の返金明細をセットで確認します。
カード年会費や手数料を見落としている
カード会社からの請求には、商品やサービスの購入代金以外が含まれる場合があります。
例えばカード年会費などです。
請求総額だけを見るのではなく、明細の中に通常の購入とは異なる項目がないか確認してください。
複数のカード・追加カードが同じ請求に含まれている
法人カードでは、代表カードのほかに従業員用の追加カードを発行していることがあります。
カード会社からの請求はまとめられていても、帳簿ではカード別に管理している場合があります。
逆に、複数カードを帳簿上でまとめて管理していると、どのカードの取引が合っていないのか分かりにくくなります。
照合するときは、カード番号の下4桁などを使って、対象カードを明確にしてから確認すると整理しやすくなります。
銀行引落時に再び経費として登録している
カード利用時にすでに経費を計上している場合、銀行からカード代金が引き落とされたときは、通常、その未払残高を減らす処理を行います。
引落時にも同じ経費を計上すると、カード利用時と引落時の二重計上になります。
この問題は「カードの利用」と「カード会社への支払い」を別の取引として考えると整理しやすくなります。
前月以前のカード利用分が残っている
今月のカード利用明細がすべて合っているのに帳簿残高だけが合わない場合は、前月以前の未払残高が影響している可能性があります。
この場合は今月の利用明細だけを確認しても解決できません。
カード別の補助元帳などを確認し、いつから差額が残っているのかをたどります。
未払金全体の残高が合っていない場合は、カードだけではなく、請求書やその他の支払いも含めて確認する必要があります。
合わせて読みたい:買掛金・未払金の残高が合わない7つの原因|請求・支払・帳簿を照合する6つの手順
カード明細と帳簿は「請求単位」で照合する
クレジットカードの確認では、銀行口座のように単純に残高だけを比べるよりも、カード会社の請求単位で整理する方法が分かりやすいです。
1.確認するカードと請求月を決める
まず、どのカードの何月請求分を確認するのかを決めます。
複数カードがある会社では、一度にまとめて確認しない方が原因を絞り込みやすくなります。
2.カード会社の請求明細を用意する
対象となる請求について、
- 利用日
- 利用先
- 利用金額
- 取消・返金
- 年会費などの項目
を確認します。
この段階では、まず「今回の請求額がどの明細から構成されているか」を把握します。
3.同じ取引が帳簿にあるか確認する
カード会社の利用明細と帳簿を照合します。
「請求額と帳簿残高」という大きな数字だけを比べるのではなく、明細1件ずつについて、
- 帳簿に登録されているか
- 金額が一致しているか
- 二重登録されていないか
を確認します。
4.翌月請求となる利用分を分ける
月末時点では帳簿に登録されていても、カードの締め日を過ぎたため翌月請求になる取引があります。
これらは誤りとして修正するのではなく、「まだ請求・引落されていないカード利用分」として分けて確認します。
5.今回の請求額と銀行引落額を確認する
カード会社の請求内容が整理できたら、銀行口座から実際に引き落とされた金額を確認します。
ここで銀行口座側の帳簿残高そのものが合っていない場合は、カード明細の問題とは分けて確認した方が原因を特定しやすくなります。
合わせて読みたい:銀行口座の残高と帳簿残高が合わない原因|確認する順番と修正方法
差額の出方から確認場所を絞る
どの数字が合っていないかによって、確認する場所も変わります。
| 状況 | 主に確認したいこと |
|---|---|
| カード明細にはあるが帳簿にない | 登録漏れ、未処理の明細 |
| 帳簿にはあるがカード明細にない | 締め日、翌月請求、取消、二重登録 |
| カード請求額と銀行引落額が違う | 対象となる請求月、カード会社の請求内容 |
| 引落後もカードの未払残高が残る | 過去月のカード利用、引落時の処理 |
| 同じ金額が複数登録されている | 手入力と自動連携による二重登録 |
| 金額は合うが利用先が分からない | 証憑や利用者への確認 |
内容が分からないカード利用を見つけた場合は、推測で勘定科目を決めるのではなく、確認が必要な取引として分けておきます。
合わせて読みたい:経理の未処理一覧とは?月次決算までに解消する管理方法
クレジットカード利用時と引落時の基本的な仕訳例
ここでは、消耗品11,000円を法人カードで購入し、後日、会社の普通預金から11,000円が引き落とされたケースを例にします。
以下は税込経理を前提とした簡単な例です。
カード利用時
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 11,000円 | 未払金 | 11,000円 |
カードを利用した時点では、購入した費用とカード会社へ支払う債務を記録します。
カード代金の引落時
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払金 | 11,000円 | 普通預金 | 11,000円 |
引落時には、カード会社への未払金を減らします。
このとき、もう一度「消耗品費11,000円」と登録すると、同じ経費を二重に計上することになります。
なお、実際に使用する勘定科目や消費税の処理は、会社の経理方法や取引内容によって異なります。
カード明細の自動連携を使う場合の注意点
クラウド会計へカード明細を連携すると、手入力の負担を減らせます。
一方で、自動連携を利用する場合は「どのデータを起点に帳簿へ登録するか」を決めておく必要があります。
例えば、
- カード明細から登録する
- 領収書・請求書から先に登録する
- ECサイトなど別サービスの明細から登録する
といった複数の方法を併用すると、同じ取引を二重に登録する可能性があります。
カード連携を利用する場合は、「カード明細が入ってきたら必ず新しい経費として登録する」のではなく、すでに同じ取引が登録されていないか確認してから処理します。
カード明細のズレを防ぐために毎月決めておきたいこと
クレジットカードは毎月同じ方法で確認すると、差額を早い段階で見つけやすくなります。
カードごとに管理する
複数の法人カードを使っている場合は、補助科目などを利用してカード別に管理すると、どのカードで差額が生じているのか確認しやすくなります。
締め日を把握する
カード会社の締め日を経理担当者が把握しておくと、「帳簿にはあるが今月の請求にはない」という取引を説明しやすくなります。
登録方法を統一する
手入力、自動連携、領収書からの登録など、同じ取引を複数の経路から登録しないルールを決めます。
月次処理でカード明細を照合する
数か月後にまとめて確認すると、どの月から差額が生じたのか分かりにくくなります。
請求明細が確定したタイミングなど、毎月決めた時期にカード明細と帳簿を照合する運用にしておくと確認しやすくなります。
クレジットカード以外の残高も合わない場合
カード明細だけではなく、銀行口座、売掛金、買掛金・未払金など複数の残高に差額がある場合は、カードだけを修正しても経理全体の問題が解消しないことがあります。
複数月にわたって未処理が残っている、残高差異がいくつも発生しているといった場合は、どこから修正するか優先順位をつけて整理する必要があります。
合わせて読みたい:経理が回らない会社の立て直し方|優先順位と7つの改善手順
まとめ|カードは締め日と請求単位をそろえて確認する
クレジットカード明細と帳簿が合わないときは、最初から帳簿全体を修正するのではなく、カード特有の仕組みから確認します。
まず確認したいのは、
- カード会社の締め日
- 今回の請求に含まれる利用明細
- 帳簿へ登録済みのカード利用
- 取消・返金の有無
- 銀行口座からの引落額
- 自動連携と手入力の重複
です。
特に、カード会社の請求期間と帳簿の対象期間が異なると、処理が正しくても金額が一致しないことがあります。
カードごと・請求月ごとに利用明細を整理し、帳簿と1件ずつ照合することで、締め日の違いなのか、登録漏れや二重計上なのかを切り分けやすくなります。
「毎月カード明細の確認に時間がかかる」「自動連携を使っているものの処理方法が統一されていない」といった場合は、カード処理だけでなく、毎月の経理フローそのものを見直すことも選択肢です。
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