Process Improvement

証憑から仕訳取込までの自動化

月次決算

まるまる経理では、日々の経理業務を代行するだけでなく、実際の運用を確認しながら、業務の標準化・効率化・チェック体制の整備まで支援しています。

今回ご紹介するのは、複数のExcelファイルを使って行っていた月次経理業務について、処理の流れを整理し、定型作業の自動化とチェック機能を組み合わせた事例です。

単に「手作業をマクロに置き換える」のではなく、

自動で処理する部分

自動でチェックする部分

人が判断する部分

を分け、ミスが次の工程へ流れにくい運用へ改善しました。


目次

改善前の課題

対象となった月次業務では、元データをもとに残高を計算し、そこから仕訳データを作成し、最終的に会計ソフトへ取り込むデータを作成していました。

業務の流れ自体は毎月ほぼ同じですが、複数のExcelファイルや数式を使用するため、次のようなリスクがあります。

  • データの転記漏れ
  • 数式の参照先の誤り
  • 一部行だけ数式が正しく入っていない
  • 元データと仕訳金額が一致していない
  • Excel上では数字が表示されていても、数式自体が誤っている
  • エラーが残ったまま次の工程へ進んでしまう
  • 会計ソフトへ誤ったデータを取り込んでしまう

人が注意深く確認することも重要ですが、毎月繰り返す業務をすべて人の注意力だけに頼ると、どうしても確認漏れのリスクが残ります。

そこで、月次業務を工程ごとに分解し、処理とチェックを一緒に仕組み化することにしました。


月次経理の流れを4つの工程に整理

今回の改善では、月次処理を大きく次の4工程に分けました。

元データ

↓

① データ取込・整形

必要なデータを取り込み、後続処理で使用できる形に整理します。

この段階で、

  • 必要なデータが揃っているか
  • 件数に異常がないか
  • 想定した形式になっているか

などを確認します。

↓

② 残高計算

取り込んだデータをもとに、月次処理に必要な残高を計算します。

ここでは、単に計算結果を見るだけではなく、

  • Excel数式にエラーがないか
  • 必要な数式が入っているか
  • 本来参照すべきデータを参照しているか
  • 前月までの実績と比べて異常な値になっていないか

などを確認します。

↓

③ 仕訳作成

計算した残高をもとに、会計処理に必要な仕訳データを作成します。

この工程では、作成された仕訳を元データと照合し、

  • 金額が一致しているか
  • 必要な仕訳が漏れていないか
  • 重複して作成されていないか

などを確認します。

↓

④ 会計ソフト取込データ作成

最後に、会計ソフトへ取り込むためのデータを作成します。

出力前に、

  • 金額
  • 日付
  • 勘定科目
  • 必要な管理項目
  • 借方・貸方の整合性

などを再確認します。

1件でも確認が必要な項目が残っている場合は、取込データを出力しない設計としています。


自動化で重視したのは「速さ」より「誤りを流さないこと」

経理業務の自動化というと、

「何時間削減できたか」

「何件を自動処理できたか」

といった効率化に目が向きがちです。

もちろん作業時間を減らすことも重要です。

しかし、経理業務では、処理が速いこと以上に、誤ったデータをそのまま次の工程へ進めないことが重要だと考えています。

そのため今回の改善では、

処理を自動化すること

だけでなく、

処理結果を自動で確認すること

までを一つの仕組みとして設計しました。


サンプリングではなく、できる限り全件を確認

手作業で大量のデータを確認する場合、すべてを1件ずつ確認するのは現実的ではないことがあります。

そのため実務では、重要な項目を抽出して確認する方法も一般的です。

一方、自動処理では、人が1件ずつ確認する必要がありません。

そこで今回の仕組みでは、機械的に比較できる項目については、原則として対象データを全件照合しています。

例えば、

  • 転記前後のデータ
  • 元データと仕訳金額
  • 主要な残高
  • 会計ソフト取込前の金額

などです。

人が確認する量を減らしながら、機械で確認できる部分は確認範囲を広げる。

これも業務改善の重要なポイントです。


「数字が合っている」だけではなく、数式の参照先まで確認

Excel業務では、最終的な数字が合っているだけでは十分でない場合があります。

例えば、あるセルの数式が、本来参照すべき列とは異なる列を参照していても、偶然同じ数字が入っていれば、計算結果だけを見ても誤りに気付けません。

そのため今回の仕組みでは、必要な箇所について、

計算結果だけでなく、数式が正しいデータを参照しているか

まで確認するようにしています。

これは、単純な転記自動化ではなく、Excelを使った経理業務そのものの品質を高めるための仕組みです。


異常を検知したら、自動で処理を止める

自動化では、「エラーが起きても最後まで処理できてしまう」ことが大きなリスクになる場合があります。

処理自体が完了してしまうと、正常に処理できたように見えてしまうためです。

そこで今回の改善では、

  • 数式エラー
  • 金額の不一致
  • 想定外の値
  • 参照先の異常
  • 必要項目の不足

などを検知した場合、処理をそのまま継続しないようにしました。

特に会計ソフトへ取り込む最終データについては、

確認が必要な状態であれば、ファイル自体を作成しない

ようにしています。

「エラーを表示する」だけではなく、誤ったデータを次工程へ進めないところまで仕組みにすることがポイントです。


全部を自動化しない理由

一方で、すべての経理業務を自動処理しているわけではありません。

経理業務には、

  • 過去と異なる新しい取引
  • 契約内容の確認が必要な取引
  • 会計処理の判断が必要な取引
  • 一時的な例外処理

など、単純なルールだけでは判断できないケースがあります。

こうしたケースまで無理に自動化すると、かえって誤処理につながる可能性があります。

そのため、

条件を明確に判定できるものは自動処理

判断が必要なものは自動で止め、人が確認

という役割分担にしています。

経理の自動化では、すべてを自動化することよりも、どこまで自動化してよいかを適切に設計することが重要です。


元データを守り、問題があれば戻せる設計に

業務改善では、処理速度や自動化率だけでなく、万が一問題が起きたときに元の状態へ戻せることも重要です。

今回の仕組みでは、

  • 処理前のバックアップ
  • 元ファイルを直接変更しない運用
  • 一時ファイルでの処理
  • 検証後のデータだけを反映
  • 既存ファイルの誤上書き防止

などを組み込んでいます。

「間違えない仕組み」だけではなく、何かあった場合にも復旧しやすい仕組みにすることを重視しています。


毎月使い続けられる仕組みにする

単発の業務効率化であれば、その月だけ動く仕組みでも対応できます。

しかし、経理は毎月繰り返す業務です。

そのため今回の改善では、特定の月だけ動く処理ではなく、年月やデータの内容に応じて処理できるようにし、毎月継続して運用できることを前提に設計しました。

業務改善では、ツールを作ること自体が目的ではありません。

担当者が変わっても、毎月同じ品質で継続して使える状態をつくること

が重要だと考えています。


改善後の考え方

今回の改善では、月次経理を次のような考え方で整理しました。

自動で処理する

繰り返し発生し、明確なルールで処理できる定型業務は自動化します。

自動でチェックする

転記結果、金額、数式、参照先など、機械的に確認できる部分は自動で検証します。

異常があれば止める

不一致やエラーがある状態では、そのまま次の工程へ進めません。

判断が必要なものは人が確認する

新しい取引や例外的な処理など、人の判断が必要なものは無理に自動処理しません。

このように、

自動化 × チェック × 人による判断

を組み合わせることで、効率と品質の両立を目指しています。

経理業務では、処理を自動化するだけでなく、正しく処理できているかを確認する仕組みも重要です。
経理業務の品質管理について詳しく見る


経理業務を「そのまま代行する」だけではありません

まるまる経理では、お客様の現在の業務をそのまま引き継ぐだけではなく、実際に業務を行う中で、

  • 同じ作業を何度も繰り返していないか
  • Excelへの手入力を減らせないか
  • チェックが担当者の経験だけに依存していないか
  • ミスが起きたときに発見できる仕組みになっているか
  • 特定の担当者しか分からない業務になっていないか

といった点を確認します。

必要に応じて、

業務フローの整理

定型作業の自動化

チェック方法の標準化

クラウドツールの活用

マニュアルや運用ルールの整備

などを行い、継続して回せる経理体制をつくります。

経理業務の改善は、ツールを導入するだけでなく、現状の業務を整理し、優先順位や運用ルールまで段階的に見直すことが重要です。
中小企業の経理DX|導入のための実践7ステップ


経理の効率化で大切なのは、「人をなくすこと」ではありません

経理業務の自動化では、「どこまで人の作業をなくせるか」に注目されがちです。

しかし、まるまる経理では、

人の作業をなくすこと自体が目的ではない

と考えています。

定型的な処理や確認はできるだけ仕組みに任せ、会計判断や例外対応など、本当に人が確認すべき部分に時間を使える状態をつくる。

その結果として、

より効率的で、ミスが起きにくく、担当者に依存しにくい経理体制

をつくることが、業務改善の目的です。


現在の経理業務を見直したい企業様へ

「毎月同じExcel作業を繰り返している」

「経理担当者しか分からない作業が多い」

「チェック方法が担当者ごとに違う」

「経理業務を外注するだけでなく、運用自体も改善したい」

といった課題がある場合は、現在の業務を確認したうえで、どこまで整理・効率化できるかをご提案します。

まるまる経理は、日々の経理業務の代行から、業務フローの整理・標準化・効率化まで、継続して回る経理体制づくりを支援します。

SERVICE GUIDE
業務範囲・料金・導入の流れをまとめて確認

まるまる経理のサービスガイドでは、任せられる業務範囲や料金、導入後の役割分担、導入の流れ、セキュリティ体制をまとめています。相談前に、具体的なサービス内容を確認したい方は無料でご覧いただけます。

経理業務の改善について、まずはお気軽にご相談ください

現在の業務フローを伺い、効率化・標準化できる部分を整理します。

無料相談を申し込む